記事登録
2007年10月04日(木) 22時15分

年金横領5市町「告発せず」…「意味ない」「処分妥当」と読売新聞

 市区町村の職員が国民年金保険料を横領していた問題で、4日現在、業務上横領の公訴時効(7年)にかからない事例を抱える9市町のうち5市町が告発しない方針であることが、読売新聞のまとめで分かった。

 舛添厚生労働相は同日、「自治体が告発しない場合、社会保険庁として告発する」と語ったが、告発しないとしている自治体は、「(元職員らは)処分され、社会的制裁を受けている」などと慎重な態度を崩していない。

 9市町に対して同庁は2日、「告発を含めた厳正な対応の検討」を要請する通知を出した。これを受け、東京都日野市は4日、警視庁日野署に業務上横領容疑で、12万500円を横領した元支所主事を告発した。

 一方で、残り8市町のうち5市町は「告発しない」方針を示している。

 3日に市長が記者会見し、告発しない方針を明らかにしたのは宮城県大崎市。理由について、同市は「職員は更生して社会復帰しており、現時点での告発はあまり意味がない」と説明している。

 告発しない自治体には、「当時の処分は妥当で決着している事件」(群馬県大泉町)、「相応の処分をしている」(三重県鳥羽市)など、懲戒免職処分で決着済みとの姿勢が目立った。

 42万6000円を横領した元主事を停職1か月とした大阪府池田市も、「今になって告発するのは、一度服役した人の裁判をもう一回開くようなもの」と反発。北海道様似町は、97万3300円を横領した元係長がすでに死亡しているため告発しないとした。

 大崎市については、舛添厚労相が4日、記者らに「社会保険庁のほうで告発するよう指示した」ことを明らかにし、さらに「市町村で刑事告発しないなら、社会保険庁に命じて告発させる方針だ。厳しくやらないと年金に対する国民の信頼は回復しない」と語った。

 一方、増田総務相は、「市町村の判断があれば、それはそれで受け止めなければならないと思っている。ただ、判断の経過は、住民にきちんと説明してほしい」と述べた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071004it15.htm