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2007年10月04日(木) 15時49分

L&G、残高5500万円 5月 破綻承知で集金か朝日新聞

 健康商品販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」(東京都新宿区)による出資法違反容疑事件で、同社の預金口座の残高が5月時点で計約5500万円しか確認できなかったことがわかった。当時すでに事実上破綻(はたん)状態だったとみられるが、同社はその後も、配当を約束した資金集めを続けていた。警視庁と宮城、福島両県警の合同捜査本部は、詐欺容疑での立件に向け、家宅捜索で押収した経理資料を分析するなどして資金の実態を調べている。

 調べでは、L&Gは01年ごろから、年利36%をうたった「協力金」などで、全国の約5万人から1000億円超を集めたとみられている。

 L&Gは資金繰りの悪化に伴い、今年2月、配当をそれまでの現金から疑似通貨の「円天」で支給すると会員に通知した。それ以降、全国の会員が、同社や波和二(なみ・かずつぎ)会長を相手取り、損害賠償を求める訴訟を次々起こした。提訴は、東京、仙台、静岡、名古屋、鹿児島など各地の地裁で約60件にのぼるという。

 東京地裁では3月〜5月、少なくとも10件の訴訟が起こされ、L&Gの複数の銀行口座に仮差し押さえ命令が出た。訴訟を担当した弁護士の調べでは、一時的に保管しておく別段預金を含めても、4銀行に総額約5500万円しか残高を確認できなかったという。

 この弁護士は「海外などに隠し口座があるのではないか」と指摘。これに対し、L&Gは強制捜査前の9月末、朝日新聞の取材に「隠し口座などあったら会員に返金している」と否定した。

 一方、L&Gは、東京・銀座の商業ビルに開設した「円天市場」の月500万円超とみられる家賃を9月分まで滞りなく支払っていた。

 同社は6月ごろから、古参会員らを対象にした説明会を全国で開催した。1口100万円で月利1%をうたう「円天共鳴金」や、年利24%を掲げる関連会社の「社債」などを勧誘するよう呼びかけていた。

 9月26日に新宿のL&G本社で開かれた、強制捜査前最後の説明会には、会員約60人が参加した。同社幹部は「皆さんが勧誘した会員には、訴えれば返金できなくなると説得してほしい」と求めていた。

 会員が静岡地裁に起こした訴訟で代理人を務め、勝訴した藤森克美弁護士は「L&Gは破綻状態にありながらどうやって利益をあげるのかも示さず投資商品を売っており、詐欺以外の何物でもない」と指摘している。

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 捜査本部は4日も、山形、福島、滋賀、沖縄の4県で、L&Gの関係者宅や事務所など計18カ所を家宅捜索した。

http://www.asahi.com/national/update/1004/TKY200710040217.html