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2007年10月03日(水) 06時00分

L&G、きょう一斉捜索…協力金1千億円集め残高5千万円読売新聞

 「円天」と呼ばれる独自通貨や高額の配当と引き換えに、総額1000億円に上るとみられる「協力金」を集めていた東京・新宿の健康商品販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」(波和二会長)が遅くとも今年8月の時点で経営破たん状態に陥っていた疑いが強いことがわかった。

 警視庁は3日、出資法違反(預かり金の禁止)容疑で、同社本社など全国数十か所の一斉捜索に着手。波会長ら幹部が最近まで高い利息を約束して資金集めをしていた行為が、詐欺にあたる疑いが強いとみて捜査を進める。

 同社は今年2月、全国の会員に対し、1口100万円の「協力金」につき、年36%の配当を停止する代わりに、同額を独自通貨の「円天」で支給すると一方的に通知した。これ以降、会員から協力金の返済を求められても返済期限を先延ばしするなどしたため、東京、静岡、北海道など各地の会員から、損害賠償請求訴訟などを起こされている。

 このうち東京地裁では提訴を受けて、6月〜8月に同社関連の複数の銀行口座について仮差し押さえ命令を出したが、これらの口座には総額5000万円ほどの残高しか確認できなかった。

 同社はその一方で、ほぼ同時期の6月から全国各地の高級ホテルなどで、古手の会員を対象にした説明会を次々に開催。波会長ら同社幹部が「皆さんが新規の会員を勧誘すれば、解約希望者への返済はもちろん配当も払えるようになる」「私に共鳴する人は資金を出して下さい」などと呼びかけ、従来の「協力金」とは別に「共鳴金」と名付けた資金を集めていた。元本を保証したうえで月1%の利息を払うという触れ込みだった。

 同社には会員からの協力金しか収入源がなかったため、配当を停止した2月以降は事実上、資金繰りに窮していたとみられる。警視庁では、波会長らはこれを打開するために新たな資金集めを計画、実際には、共鳴金についても元本保証や利息を払うめどは立っていなかったとみている。

 都内の複数の会員の代理人となっている弁護士は「L&Gは海外の個人口座などに資産を隠し持っている可能性はあるが、解約希望者すべてに返金できるほどの資産は確認できていない。配当を停止した時点で、経営が破たんしていた可能性がある」と指摘している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071003i201.htm