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2007年10月03日(水) 03時03分

<静岡銀行>破綻のクレディア利用者に「債権譲渡通知」郵送毎日新聞

 静岡銀行(静岡市葵区)が、破綻(はたん)した消費者金融会社「クレディア」(同市駿河区)の利用者の一部に借金を同行に返済するよう求める文書を郵送し、「家族に消費者金融を使っていたことがばれた」などの苦情が相次いだことから撤回していたことが分かった。同行はクレディアに約50億円を融資しており「法的に問題はない」としているが、「利用者に混乱を招いたことを考慮した」と説明している。
 クレディアは契約者からの過払い利息の返還請求が相次いで財務状況が悪化し、9月14日、民事再生法の適用を申請。上場する消費者金融として事実上、初の倒産だった。
 文書は「債権譲渡通知書」。「クレディアが静銀に貸付債権を譲渡した」として、借りた金を同行の指定口座に振り込むよう求める内容で、18日ごろから届いた。同行広報室によると、クレディアへの融資契約に銀行が「必要があると認めた時」には担保にしている一般利用者への貸出金を銀行が譲り受け、回収できる規定があり、「民事再生申し立てを知り、必要があると判断した」としている。送付した人数は明らかにしていない。
 しかし、「利用を初めて知った家族が慌てて支払った」「文書の意味がわからない」などの相談や問い合わせが、多い日で1日約70件も県司法書士会に相次いだ。同行やクレディアにも問い合わせがあり、両者で対応を協議して文書の撤回を決め、元通りの返済方法でいいことを知らせる文書を23日に再度発送した。
 クレディアによると、他の金融機関とも同様の契約を結んでいるが、利用者から回収には踏み切っていないとみられる。
 県司法書士会などによると、小規模の消費者金融業者の破綻時に債権譲渡されて回収されるケースはあったが、今回のような約18万人の顧客を持つ消費者金融の破綻自体が異例。県司法書士会でクレディア対策本部長を務める古橋清二司法書士は「今後、消費者金融が破綻した際に債権が譲渡されたという通知がきても、過払いになっている利息の扱いなどをまず自分が契約した会社に問い合わせてほしい」と話している。【望月和美】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071003-00000008-mai-soci