記事登録
2007年10月03日(水) 11時57分

春らんまん 新しい恋ツカサネット新聞

 友人に新しい恋がやって来た。

 私と彼女は、出会ってすぐに意気投合し、お互いの彼氏の話、家族のこと、病気のこといろいろな話をしてきた。彼女はいつも私の話を真剣に聞いてくれ、冷静に的確なアドバイスをくれる人だ。

 そんな彼女が、当時付き合っていた彼氏と別れることになった。私はその彼氏とは面識がなく、彼女から聞く話で彼を想像するだけだったが、彼女を大切にしてくれている人だとは思えなかった。この恋愛は、彼女にとっては楽しいことより辛いことの方が多かったのではないだろうか。別れたと聞いた時、私は「それで良かったんだよ」と言った覚えがある。

 しばらくの間、彼女は憔悴しきった顔をし、どう乗り切ろうかと懸命にもがいていた。そんな時、誰でもそうしてしまうだろうことが、彼女にも起こってしまった。

 彼女には、彼氏と付き合っている当時からしつこく誘ってくる男がいた。その男の話も私は聞いていたが、なんともうさん臭い男だった。会社での女性関係の噂も良いものではなく、“たくさんの女の子と遊んでいる”ということを自慢しているような男だったのだ。

 そんな男が、優しい言葉を使って何度も彼女を誘ってきた。実際、彼氏と喧嘩した時、その男が慰めてくれたり、体調が優れない時に、すぐに「心配だよ」というようなメールをよこしたという。

 彼女は、彼との別れを乗り切ろうと躍起になっている時、その男の存在を思い出してしまった。本当は心の奥で、“この男はヤバイ”と知っていたのだろうと思う。だが辛さから逃れるために、その男へ走ってしまったのだ。

 私は、なんとなく嫌な予感がしたものの、彼女の苦しみが少しでも薄れればと、その男が評判とは関係なく、彼女のことを大切にしてくれるよう願った。

 だが、やはり男は評判どおりの中途半端な男だった。言葉は優しい。「大丈夫?」「心配だよ」「大好き」「ごめんね」これらの言葉を頻繁にメールで使う。だが、それはすべて言葉だけで、実際の行動は、彼女を送ることもしなければ、彼女と一緒の時に、他の女の子へメールをしたりするような男だったのだ。そして、あっけないくらい早く、その男との交際は終わってしまった。

 彼女は、彼氏と別れた傷が癒えるどころか、さらに大きな傷を負ってしまったのだ。「自分が情けない」と言い、自責の念にかられていた。私はとにかく「悪いのは全部男のほう。ちょっと間違えちゃっただけじゃない。誰だって、寂しい時、そうやって誘ってくれる人がいたら、くっついて行っちゃうわよ。たまたまその男が悪かっただけ」といい、これからはメールで来る“言葉”を信じるより、“行動”を信じるよう、偉そうに彼女に諭した。

 彼女の中で、辛い時間はその後も続いていただろう。だが、彼女は前向きな人だ。懸命に気持ちの切り替えをしようと踏ん張っていた。

 そして、そんな傷が癒えた頃、新しい出会いがやって来た。ところが、彼女は最初戸惑っていた。だが、私にはその気持ちが痛いほどよくわかった。たくさん傷つき、辛い思いをしただけに、次の出会いに臆病になってしまうことを。

 この時も、私は、その出会った彼と面識はなかったが、冷静な彼女の口から出てくる彼についての話を聞く限り、私は、彼と彼女はとても合っているような気がしたのだ。なので私は、ちょっと前に進めないでいる彼女の背中を、そっと押すどころか、思い切りどついてやった。「その彼、絶対いい!思い切って行け!」と。

 彼女は、少しずつだけれどその彼と会い、心を開き、そして、自分を大切にしてくれる、一緒にいてとても落ち着ける相手だと確信し、交際がスタートした。

 実際、彼はとても誠実な人だった。片道1時間以上かかる彼女の家に必ず迎えに来て、送り届ける。彼女の意志を尊重し、そして、彼女の言葉に笑い、おどけてみせる。もう彼女から出てくる言葉はノロケばかりになった。彼女の恋は、愛情へと発展し、もうさよならはやって来ないだろうと思う。

 辛い経験は人間を大きくしてくれるが、時として判断を誤らせたり、臆病にさせたりする。でも、彼女のように、前を向いて一つずつ消化していけば、必ず本物の相手にめぐり合えるものなのだ。

 そう自分にも言い聞かせ、あやかりたいと願っている私である。

(記者:綺麗なお姉さん)

■関連記事
綺麗なお姉さん記者の書いた他の記事
「生活・恋愛」カテゴリー関連記事

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071003-00000012-tsuka-peo