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2007年10月03日(水) 17時00分

「円天」商法 強制捜査 警視庁など 出資法違反 L&G60カ所産経新聞

 「円天」と呼ばれる独自の通貨や高利の配当金を支払うと宣伝し、不特定多数の会員から違法に資金を集めたとして、警視庁生活経済課と宮城、福島両県警の合同捜査本部は3日、出資法違反(預かり金の禁止)の疑いで、健康商品販売業「エル・アンド・ジー(L&G)」本社(東京都新宿区)や波和二(なみ・かずつぎ)会長(74)の自宅など関係先約60カ所の家宅捜索を始めた。

 出資者約5万人から約1000億円を集めたとされるエル社の事業は刑事事件に発展。捜査本部は配当金を支払う見込みのないまま資金を集めたとみており、詐欺容疑での立件も視野に入れる。

 捜索は約200人態勢で、本社ビルなど事務所13カ所、新宿区西早稲田の波会長の自宅マンションや関東近郊の幹部宅など住宅23カ所などを対象に始まった。

 調べでは、エル社の直接の容疑は、平成17〜19年にかけ、元本を保証した上で高配当を約束し「協力金」などの名目で、宮城県蔵王町の女性(72)ら男女4人から出資金計約1700万円を預かった疑い。

 出資金は、「5万9000円を預けると3年後に10万円が返金される」「1口100万円を預ければ3カ月ごとに9%(年利36%)の利益が受けられる」などとうたい、協力金名目などで募っていた。また、「使っても減らない」と称し、出資額と同額分の「円天」と呼ばれる電子マネーを発行し、出資を募集。これらの手法で不特定多数の会員から資金を集めていたとみられる。

 円天はエル社が運営する東京・銀座の「円天市場」やインターネットサイトで布団や貴金属などの商品と交換できたが、同市場は今年夏に閉鎖。9月にリニューアルした後、今月に入り完全に閉鎖した。インターネットサイトでは商品が出展されず買い物ができない状態が続いていたという。

 9月末としていた出資金の返済期限に元金が支払われず事実上の破(は)綻(たん)状態に陥ったことや、内部資料の廃棄などエル社内に証拠隠滅の動きが表れたことなどから、捜査本部は強制捜査に踏み切ったとみられる。

 エル社をめぐっては、国民生活センターに平成9年からの10年間で1125件の相談や苦情が寄せられていた。特に、エル社が配当の支払いを現金から円天に変更した今年度は約6カ月で174件と、昨年度の244件を大幅に上回っていた。

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【用語解説】エル・アンド・ジー

 波和二会長が昭和62年に設立。当初は販売代理店を通じて布団や健康食品の販売を手掛けていたが、平成13年ごろから高配当をうたい、出資金を募集。有名歌手が出演する無料のコンサートを開催するなどして会員を増やした。営業所が沖縄県宜野湾市にあり、グループ会社は波会長の親族が社長を務めるDVD再生機販売会社など十数社。18年6月期の売上高は88億円。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071003-00000113-san-soci