記事登録
2007年10月02日(火) 03時03分

1千億円集めた「円天」業者を近く捜索、出資法違反容疑で読売新聞


都の立ち入り調査後、エル・アンド・ジー本社を後にする波和二会長

 「円天」と呼ばれる独自通貨や高額の配当と引き換えに、東京・新宿の健康商品販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」(波和二会長)が、全国の会員5万人から総額1000億円に上るとみられる「協力金」を集めていた問題で、警視庁は、近く出資法違反(預かり金の禁止)容疑で同社本社などの捜索に乗り出す方針を固めた。

 同社は先月下旬、社員の大半を解雇した直後、内部資料を廃棄処分するなど“証拠隠し”の動きも見せており、同庁は早期に関係資料を押収する必要があると判断した。今後は詐欺容疑での立件も視野に捜査を進める。

 これまでの警視庁の調べによると、同社は2004年ごろから、「1口100万円の協力金を預ければ、3か月ごとに9万円の配当金を支払う」とうたって会員を勧誘。協力金の額に応じて支給する独自通貨「円天」を使えば、「円天市場」と呼ばれる会員限定のバザー会場などで家電製品や食品と交換できると約束し、高齢者や主婦などから多額の協力金を集めてきた。

 ところが今年2月、全会員に対し、現金の配当を停止する代わりに、その分を「円天」で支給すると通知。協力金の返済を求める会員には、9月をめどに「分割払いで返済する」と回答していたが、返済に応じず、同月下旬には社員の大半を解雇したため、会員らの間に動揺が広がっていた。

 警視庁では、同社が配当を停止した今年2月以降も、配当金を支払う見込みのないまま新規の会員の勧誘を続けていたことから、大型詐欺事件に発展する可能性もあるとみて資金の流れの解明を急ぐ。

         ◇

 これに関連し、東京都取引指導課は1日午後、都消費生活条例に基づき、東京・新宿の同社本社を立ち入り調査し、関係書類の提出を受けた。同課は同日、同社幹部から事情を聞く予定だったが、幹部が現れなかったため、立ち入り調査に踏み切った。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071002i101.htm