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2007年10月02日(火) 18時40分

ランキング協力店の独自調査を提出──オリコンvs烏賀陽訴訟オーマイニュース

 CDの売上げランキングを発表しているオリコン(小池恒社長)が、雑誌『サイゾー』(インフォバーン発行)の取材にコメントしたジャーナリストの烏賀陽弘道氏を名誉毀損で提訴し、オリコンの訴えが訴訟権の乱用にあたるとして烏賀陽氏が訴えている「オリコン裁判」の第5回口頭弁論(併合審理、綿引穣裁判長)が10月2日、東京地裁で開かれた。

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 烏賀陽氏側は、小池社長の証人申請をしたが、綿引裁判長は「原告代表者(小池社長)は現時点では必要ない」として申請を認めなかった。また、烏賀陽氏側は、独自の調査として、オリコンの調査協力店の聞き取り結果を提出した。

 烏賀陽氏側は要求した証人は、1)ITや音楽をフィールドに活躍するジャーナリストで、レコード店関係者を取材したことのある津田大介氏、2)統計手法に関して主導的立場にあり、訴訟権を悪用したことを証明するのに必要な、オリコンの小池社長、3)烏賀陽氏本人──の3人。

 この要求に対して、オリコン側は「(オリコンは)株式会社であり、代表者一人の意向で提訴したわけではない」と主張、小池社長の証人としての出廷を拒んだ。裁判所も合議の結果、小池社長の証人申請を却下した。裁判長はまた、「(津田氏の証人も)必要ないと考えている」と話し、申請した証人のうち、烏賀陽氏のみを認めた。

 オリコン側弁護団は、オリコンからの証人として、申請はしないものの、「仮に呼ぶとすれば」として、烏賀陽氏が2003年1月に『AERA』の記者として取材をした当時の、オリコンの広報担当者で、現在は辞職している女性を推薦。裁判所は、その女性を呼び出すことを決めた。

 閉廷後、烏賀陽氏側は日本弁護士会館で記者会見し、同日提出した証拠について説明した。提出した証拠は、オリコンの調査協力店とされている音楽レコード販売店3店舗の聞き取り結果。

 それによると、A店は、「オリコンへの報告は、毎週、FAXで行っている。洋楽、Jポップ等のジャンルを分けず、通して1位から30位までの売上枚数を報告する」、「予約が入ったとき、内金を受け取ることはない。実際に入金があるまでは、予約を売上げとしてカウントすることはない」、「オリコンのランキングを上げたいからという理由で、プロダクションが同一商品の大量購入をしていくことは、よくある」としている。

 一方、B店は、「毎週月曜日にオリコンから電話がかかってきて、口頭で、演歌のみ、1位から10位まで売上枚数を回答している」、「予約が入り、取り置きしている分については、まだ入金がなくても、売上げとしてカウントしている。オリコンへ報告する売上枚数の中にも、予約分が含まれている」として、売上げに予約枚数をカウントしている、と証言した。

 C店は、「オリコンへの報告はメールで行っている。毎週日曜日に、ロックの1位から10位までの売上枚数を、メールの本文の中で、報告している。オリコンから必要事項を指定され、それを満たすようなかたちで報告しているが、エクセル等による書式は特にない」、「予約については、原則として、売上げとしてカウントすることはないが、前金として入金があったものについては、商品引渡前の段階でも、売上としてカウントすることもある」、「オリコンに報告する売上げ枚数の集計方法に関し、予約をカウントに入れるかどうかについて、とくに指示を受けたことはない。頼まれて、本来11位の商品について、10位として報告することもある」などとしている。
 
 弁護団は調査結果について「(予約枚数をカウントするかどうか)店によって違うことがよくわかる。報告の仕方もバラバラ。オリコンがそのつもりなのかどうかは別として、事実として、予約枚数がカウントされている」と説明した。

 烏賀陽氏は「独自の調査でも、調査協力店の中で、所在不明というところもある。それに調査の書式があるが、それを使っている店がほとんどない。本当はいったい誰がどのように調査しているのか、疑問が残る」と話していた。

 次回は証人尋問で、12月11日午後1時30分から。

(記者:渋井 哲也)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071002-00000006-omn-soci