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2007年09月30日(日) 06時00分

証券販売トラブル和解金、上半期で1億円に朝日新聞

 株式売買や投資信託の販売をめぐるトラブルで、証券会社が個人の顧客に支払った和解金は今年上半期(1〜6月)には計33件、約1億円にのぼることが日本証券業協会のまとめでわかった。33件のうち高齢者相手が過半数を占める。30日に完全施行される金融商品取引法は投資家保護の強化をうたっており、各社の勧誘・販売姿勢がより厳しく問われそうだ。

 日証協は証券会社と顧客の間で起きた紛争を仲裁するため、弁護士を交えて協議する「あっせん制度」を設けている。顧客は損害額に応じて2000〜5万円の申立金を支払えば、数カ月で解決案が示される仕組みだ。

 事前に損失リスクを十分に説明しなかったり、強引に勧誘したりなどのトラブルが目立ち、今年上半期には61件の紛争が扱われ、和解したのは35件(個人33件、法人2件)。他の20件が協議不調で打ち切り、6件が取り下げとなった。この制度はまだ十分に知られておらず、実際にはトラブルにあいながら、泣き寝入りしている顧客も多いとみられる。

 トラブルの背景には、個人投資家の増加がある。低金利のなか、株式投資をする個人は06年度には5年前の約2割増の3928万人に増加。投資信託の8月時点の残高は、5年前の約2倍の約80兆円に達している。

 30日施行の金商法は、顧客の知識や財産を考慮した勧誘や、損失リスクの十分な説明など、販売側に徹底した投資家保護を求めている。これを受け、証券各社は従業員教育の徹底や、販売用パンフレットの見直しを進めている。

http://www.asahi.com/business/update/0929/TKY200709290261.html