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2007年09月28日(金) 03時04分

<政治資金報告書>「領収書紛失」認めず 総務省が都を指導毎日新聞

 鴨下一郎環境相が代表を務める自民党東京都第13選挙区支部(東京都足立区)が約148万円分の領収書を「紛失」を理由に政治資金収支報告書に添付していなかった問題で、総務省は東京都選挙管理委員会に対し、同様の処理方法を容認する表現が手引書にあることを改善するよう求めたことが分かった。これを受け都選管は来年から記述を改めることを決めた。
 政治団体の領収書の扱いは今国会で大きな焦点となっているが、「紛失」が法の抜け穴となっていることに、総務省がクギを刺した形だ。
 政治資金規正法は、5万円を超える政治活動費を支出した場合、領収書の写しを収支報告書に添付することを義務づけている。それが難しい場合、領収書に代わり金額や日時などを記した「領収書を徴(ちょう)し難かった支出の明細書」を添付することとしている。都選管の手引書には、「紛失した場合などは明細を記載のうえ添付」との記述がある。これが領収書をなくしても済むという解釈にとられていたという。
 鴨下環境相の同支部は03年分の収支報告書で、「機関紙の印刷」など計148万8407円について領収書を紛失したとしていた。この問題の発覚を受け、総務省は都選管に照会し、「誤解を招く」と改善を求めた。都選管は、来年から「どうしても領収書の再発行が無理な場合に限る」との趣旨に変え、再発行など、できる限り領収書の添付を求める形にするという。また都選管の手引書には明細書の記載例の欄に「紛失」という言葉があったが、これは既に削除されている。
 領収書の「紛失」問題は、甘利明経済産業相が代表を務める自民党神奈川県第13選挙区支部でも発覚。04〜05年に支出した陣中見舞いなど計47万円について紛失したとして処理していたことも分かっている。
 領収書を巡っては、自民、公明両党が、1円以上の支出(人件費を除く)に添付を義務付ける同法改正を目指すことで合意。「添付条件の厳格化」については議論が進む一方で、「領収書を紛失した」と申告さえすれば支出のチェックができないという“法の抜け穴”は放置された状態が続いていた。
 政府は25日、鈴木宗男衆院議員(新党大地)の質問主意書に対し「領収書の紛失は『徴し難い事情』には含まれない」との答弁書を出している。【加藤隆寛】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070928-00000013-mai-pol