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2007年09月27日(木) 00時00分

セキュリティー対策ソフトを無料提供…キングソフト読売新聞


無料ソフトがダウンロードできるサイト

 キングソフトは、企業広告を収入源とする、無料のセキュリティー対策ソフト「Kingsoft Internet Security free」の提供を開始した。ウイルス対策だけでなく多機能のセキュリティー対策ソフトを無料で提供するのは国内初。同社の広沢一郎社長は「ネット広告を取り入れ、ユーザーには完全無料で提供し、新しい収益モデルを実現する」と語った。

 無料版の機能は、有料版と全く同じ。「アンチウイルス」「パーソナルファイアウオール」「アンチスパイウエア」を備える。また、フィッシング詐欺の疑いのある怪しいサイトにアクセスしようとすると警告を表示し、OSなどの脆弱性を診断して自動的に修復する機能もある。

 無料版と有料版の違いは、無料版はソフトの起動画面や、アップデートの更新、お勧め情報を知らせるポップアップ画面に広告が表示されるところ。企業からの広告料で、ソフトを無料提供する仕組みだ。

 広告を表示させたくない場合は、従来通り年間更新料980円を払うか更新料無期限2980円の有料版を購入する。

 このソフトの広告主は当面、8社。キングソフトの沈海寅取締役は、「広告による収益形態は初めてなので先が見えない」としながらも、今回の提供企業以外にも賛同する企業が多いことを強調する。

 現在、セキュリティー対策ソフトを使っていないユーザーの割合は、情報処理推進機構の2006年版「情報セキュリティに関する新たな脅威に対する意識調査」で約26%、インターネット協会が監修する「インターネット白書2007」では約36%という結果が出ている。

 同社は「セキュリティー対策の認識はまだまだで、こうしたソフトの将来性はあるはず」(沈取締役)と期待。無料版配信で広告による新たなビジネスモデルを模索し、さらなるユーザー数の拡大を目指す。(編集部・笠原大輔/2007年8月24日発売「YOMIURI PC」2007年10月号から)

http://www.yomiuri.co.jp/net/frompc/20070927nt06.htm