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2007年09月26日(水) 13時35分

仕手筋の男ら2人取り調べ、逮捕へ 関係先を家宅捜索産経新聞

 ジャスダック上場のパソコン販売業「オーエー・システム・プラザ」(OAシステム、本社・名古屋市)の株取引をめぐり、東京都内の仕手筋の男ら2人が不正に株価をつり上げていた疑いが強まったとして、大阪地検特捜部は26日、証券取引法違反(相場操縦)容疑で2人の取り調べを始めたもようだ。容疑が固まり次第、逮捕する方針。また特捜部は、証券取引等監視委員会と合同で関係先の家宅捜索に着手した。

 関係者によると、平成17年3月末までに15万7000株を保有し大株主だった仕手筋の男は、同年夏ごろ、これらの株を市場で売却し、高値で売り抜けたとされる。同じ時期に売りと買いの注文を出す「仮装売買」などの手口を使って取引が繁盛しているように見せかけ、人為的に株価をつり上げていた疑いがあるという。

 検察・監視当局は今後、証券市場で暗躍する仕手筋に照準を絞り、本格摘発に乗り出すとみられる。その背景には、近年の摘発を通じて仕手筋の人脈や錬金術を解明したことに加え、一般投資家の保護を目的に30日に施行される金融商品取引法の存在もある。

 仕手筋に詳しい関係者は「上場企業を狙い『濡れ手で粟』の利益をむさぼってきた連中の人脈や手口は、今や捜査当局の知るところとなった。連中は今後、一網打尽にされるのではないか」と語る。

 関係者によると、仕手筋の典型的なパターンは「ボロ株」といわれる額面割れの安い株を買い集めることから始まる。株を集める際に、規制が緩く税金の安い海外で投資組合(ファンド)をつくるのも一般的。

 「本尊」と呼ばれる仕手の中心人物が情報を漏らしたりすることで取引が増え、ネズミ講のように周囲の仕手筋も乗っかって株価が上昇。ある程度株価が上がると、仕手筋以外の一般投資家、いわゆる「提灯(ちょうちん)」が相場に参加する。「提灯が付いた」段階で、値が上昇した株は彼らに売りつけられる。そして仕手筋は相場から離れるのだ。

 仕手戦を仕掛けたこともある元証券マンは「仕手筋の神髄はボロ株を手に入れること。タダ同然の株価を無理やり上げて一般投資家に買わせるのだから、詐欺行為にも等しい」と話す。

 仕手筋を摘発した近年の事例では、大阪地検特捜部が平成17年10月、測量機メーカー「ソキア」の株価を不正につり上げたとして同社幹部を逮捕した事件や、東京地検特捜部が14年3月に摘発したニッケル加工メーカー「志村化工」株の相場操縦事件がある。

 今回の捜査は関西を中心に活動していた「大物仕手筋」をターゲットにしているといわれる。金融業界内では「一般投資家の保護を目指す金商法の存在が大きい。施行前に『過去の遺物』を一掃するのが狙いだろう」とささやかれている。

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