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2007年09月26日(水) 20時37分

<リタリン>「監視強化を」患者の家族ら厚労省に要望書毎日新聞

 向精神薬「リタリン」の乱用問題で、依存症に苦しむ患者を抱える家族が26日、適応症のない患者にリタリンを処方している医師や医療機関について、チェック機能や行政処分の強化を求める要望書を厚生労働省に提出した。リタリンの製造・販売元がうつ症状への適用を自主的に削除する方針を決めたが、家族は「患者の求めに応じて不必要な処方をする医師が後を絶たず、抜本的な対策が必要だ」と訴える。
 要望書を提出したのは、依存症の治療機関を紹介したり、家族同士の交流を支援する活動を続けている家族会のメンバーら。要望は(1)東京都などが立ち入り検査した東京クリニック(新宿区)など、リタリンを不適切に処方した疑いがある医療機関の医師に対し医道審議会で厳正な処分を行う(2)同審議会の処分根拠として、従来の刑事や民事の判決だけでなく、保健所の立ち入りなど自治体による行政指導実績も加える——など。
 要望書の提出後、メンバーは厚労省で会見し「日本の精神医療は、薬物に頼り過ぎている。医師の『薬物依存』がリタリン問題の背景にあるのではないか」と語り、医師の姿勢を批判した。
 出席した男性メンバーの息子は高校2年の時にいじめで不登校になり、クリニックを受診。医師はリタリンを1日1錠処方したが、3年後には1日8錠に増えた。家族への暴力も激しくなり、母親に肋骨(ろっこつ)を折るけがを負わせたこともある。暴力に耐えかねた家族は警察に相談し、紹介された医療機関で初めてリタリンが原因だと知った。息子は1年以上の治療の末、依存症から離脱。家族はこれを機に、リタリン依存に関する相談ボランティアを始めたという。
 長男毅さん(当時25歳)が依存症の末に自殺した名古屋市の小原幸子さん(55)も同席し、「医師のモラルを正してほしいというのが、子どもを亡くした親の気持ちです」と話した。【精神医療取材班】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070926-00000109-mai-soci