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2007年09月25日(火) 17時40分

元カノのセクシー画像から考える肖像権と著作権、どちらが強い?R25

つきあっている彼女のセクシーな画像を撮影したい! 男子なら、実行にうつすかどうかはともかく、一度くらいはそんなことを考えたことがあるんじゃないでしょうか。健全です。まったく健全なスケベ心です。キチンと彼女の承諾を得れば、まったく問題ない行為であります。今なら、ケータイにデジタルカメラ機能があるので現像する必要もなく、気軽に撮影しているカップルも多いと思われます。

しかし、問題はその後ケンカして別れることになった場合。彼女はリスキーな行為をしたことに気づきます。当然、「あの恥ずかしい画像を削除して!」と訴えるでしょう。もちろん、ここは「削除!」が良識ある大人の正しい選択ですが、「絶対、外には出さないし、個人的に楽しむだけ。それに撮影者はオレだから、著作権はオレにある」と言い出す輩がいたとしたら…それに対して彼女が「私が写ってるんだから、肖像権の侵害よ!」と反論すればどうなるのでしょう?

極めて俗な例題で恐縮しつつも、著作権法に詳しく、『肖像権 新版』(太田出版)など多数の著作を持つ久留米大学特任教授、大家重夫先生に回答していただきました。

「意外に難しい問題です。過去に『人は、自己の容貌等を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益も有する〜』という最高裁判例があります。この場合の『男性が女性のセクシーな画像を所持する状態』は、撮影された経緯、所持したいとする態度、その必要性などを考慮すれば、女性の人格的利益の侵害にあたると考えられなくもない。もし裁判をすれば、女性の主張が通ると私は思います。『外には出さない、公表しない』と男性が主張しているとはいえ、裁判官に信用される可能性は低いでしょう」

じつは、日本では著作権法はあっても、肖像権について明確に定められた法律はない。だが、判例としては認められており、肖像権についてはこれまでの、そしてこれからの判例次第ということになる。これが難しい問題とされる理由で、一概に著作権と肖像権のどちらかが優先されるということはハッキリいえない、というのが現状なんですね。ましてや、デジタル画像ならカンタンに複製可能。ますます、この男性の「外には出さない」という主張が信用ならないものになります。故意ではなくとも、流出の危険は大きくなるわけですから。

結局のところ、裁判官、ひいては世間の良識が是非を決めるということになります。「己の欲望のために、昔の彼女のセクシー画像をずっと保持したい」というのは、世間の良識からみてアウトになる可能性は高そうです。著作権や肖像権を持ち出すまでもなく、昔の彼女から「削除して」と言われたら、誠意を持ってキチンと(本当に)削除しましょうね!
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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