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2007年09月24日(月) 12時26分

会員5万人から1千億円超 L&G社、出資法違反の疑い朝日新聞

 「100万円預ければ年利36%」などと宣伝し、金を集めていた健康商品の製造・販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」(東京都新宿区、波和二会長)が、今年1月から配当の支払いを中止し、会員からの苦情や相談が相次いでいることが分かった。「元本保証」を約束し、全国の約5万人から1000億〜1500億円を集めたとみられるが、同社の従業員は大半が退職。会員の一部や相談を受けた都内の弁護士は、不特定多数から資金を預かることを禁じた出資法に違反する疑いが強いとして、近く警視庁に告訴する方針だ。

 L&Gは、約20年前から健康寝具や食品などを販売。01年ごろからは、100万円預ければ1年で36%の利息を受け取れるとする「協力金」など、3種類の投資商品を扱っていた。会員は、別の会員を紹介すると手数料が入る仕組みという。

 しかし、今年1月、「協力金」の利息支払いを、それまでの現金から疑似通貨「円天」に切り替えることや、来年2月までは解約に応じないことを会員に通知した。

 この決定のあと、会員からの相談が全国の消費生活センターなどに殺到した。同社は今年5月、「協力金」の解約に9月から応じると方針転換したが、同時に「円天共鳴金」という名目で新たな金集めを開始。このため、会員や弁護士は、同社の資金繰りを疑問視している。

 都内や神奈川など関東地方の会員約10人から相談を受け、告訴する方針の弁護士の事務所は「L&Gは、過去最大級のマルチ商法の可能性がある」と指摘している。

 従来は約100人いたL&Gの従業員は今春以降、半数が退職。同社は今月20日、一部の従業員を除き、解雇した。

 朝日新聞の取材に、同社広報部は「昨年ごろから、勧誘をしない株主社員(会員)が増えたため、資金繰りが厳しくなった」と説明。出資法違反にあたるとの指摘には「年36%は不特定多数への配当ではないので違法ではない。解約希望者全員に今月末から返金を開始できるか分からないが、会社再建の努力は続けている」としている。

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 〈L&G〉 健康寝具類販売などを目的に87年8月に設立。「円天」は会員が振り込んだ額に応じて付与される疑似通貨で、高価な健康機器や貴金属から、食品や雑貨など日用品まで幅広い商品を「購入」できる。「円天は毎年付与されるので減らないお金」と宣伝したり、芸能人を招いた説明会を開いたりして、主婦を中心に人気が拡大。新宿の本社と銀座の商業ビルに、商品を陳列した「円天市場」を設けているほか、パソコンや携帯電話を通じて商品と交換する。

http://www.asahi.com/national/update/0923/TKY200709230150.html?ref=toolbar2