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2007年09月23日(日) 09時16分

独自通貨「円天」の健康商品会社、会員5万人への配当停止読売新聞

 高額の配当や、「円天」と呼ばれる独自通貨をもらえるとうたって、全国の会員から多額の「協力金」を集めていた東京都新宿区の健康関連商品販売会社「エル・アンド・ジー」が今年2月以降、配当の支払いを中止し、各地の消費生活センターに苦情が相次いでいることがわかった。

 今月20日には、同社が社員の大半を解雇したことも判明。同社の会員は約5万人、集めた資金は約1000億円に上るとみられ、返金を求めて訴訟を起こした会員の代理人弁護士は「不特定多数から資金を預かることを禁じた出資法違反の疑いが強い」と指摘している。

 健康補助食品などの製造・販売を目的に1987年に設立された同社は、2004年ごろから全国各地のホテルで演歌歌手やタレントを招いた説明会を開催。「1口100万円の協力金を預けて会員になれば3か月ごとに9万円の配当を支払う」「1年後の満期には元本を返金する」などとうたって、会員の勧誘を始めた。

 同社のパンフレットなどによると、会員になった場合、3か月ごとの配当とは別に、協力金の額に応じ、「円天」と呼ばれる独自通貨がもらえる。会員は、「円天市場」という会員限定のバザー会場やインターネット上で、この円天と、カニなどの魚介類やアクセサリー類、オーディオ機器などの商品を交換できる。「円天を使っても協力金の元本は保証される」というシステムが口コミで人気を呼び、会員はこの3年余りで、主婦らを中心に約5万人にまで増加した。

 しかし今年1月ごろから会員への配当が滞り始め、2月には同社が「配当を一時保留する」「配当を円天に切り替える」と会員に通知。解約を申し出ても「来年2月以降でなければ応じられない」などと協力金の払い戻しを拒んだことから、各地の消費生活センターに相談が相次いでいる。

 関係者によると、同社はその後も、従来の会員に「会員を集めてもらえなければ配当ができない」と訴えるなど、新規の会員の募集を続けていたが、今月20日に、60人前後いるとみられる社員の大半を解雇した際には、同社の幹部が「会社の規模を縮小して、経営の健全化を図りたい」と釈明したという。

 今年5〜7月にかけ、協力金など総額3200万円の返還を求めて会員3人が起こした損害賠償請求訴訟の代理人を務める藤森克美弁護士(静岡県弁護士会)は「知人や家族の紹介で入会したため、被害を訴えにくい会員が多く、潜在的な被害者は相当数に上るのではないか」と話している。

 同社は、読売新聞の取材に対し「個別の取材には応じていない」とコメントしている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070923it01.htm