記事登録
2007年09月17日(月) 06時00分

「僕はパパを殺すことに決めた」一部図書館で閲覧を制限朝日新聞

 昨年6月に奈良県田原本町で家族3人が焼死した放火殺人事件をめぐり、中等少年院送致になった長男(17)らの供述調書を引用した単行本が出版され、調書を流出させた秘密漏示容疑で長男の精神鑑定医(49)が奈良地検の家宅捜索を受けた問題で、一部の公立図書館が本の貸し出しと閲覧を中止していることが分かった。「過剰反応」との声も上がっている。

 この本は、5月に講談社が出版した「僕はパパを殺すことに決めた」で、著者はフリージャーナリストの草薙厚子氏。

 徳島県松茂町立図書館は、地検が強制捜査に乗り出した14日に貸し出しを中止した。「問題になっている本なので、決着がついてから出そう」と判断したという。栃木県佐野市立図書館は15日、閲覧と貸し出しをやめ、松江市立図書館は16日、閲覧と貸し出しの一時中止措置をとった。

 京都府亀岡市の市立図書館は、東京法務局が7月に著者と講談社に被害拡大防止などを検討するよう勧告を出したため書棚に並べていない。山形県河北町立図書館は、6月に奈良家裁が講談社と著者に抗議したことを報道で知り、貸し出し禁止にした。

 97年の神戸連続児童殺傷事件でも、加害少年の供述調書を98年に掲載した月刊誌を一部の図書館が閲覧制限した例がある。貸し出しを続ける図書館からは「書店で手に入る本を規制することはいかがなものか」(滋賀県栗東市立)といった意見も出ている。

http://www.asahi.com/national/update/0916/OSK200709160030.html