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2007年09月17日(月) 01時42分

業者から家電や家具、高知医療センター前院長を逮捕読売新聞

 公共事業に民間のノウハウを活用するPFI方式を全国で初めて病院経営に導入した高知医療センター(高知市)の前院長が、周辺業務を担当する業者から約250万円相当の家電製品などを受け取ったとして、高知県警は16日、前院長で同志社大教授の瀬戸山元一(もといち)容疑者(63)(京都市左京区)を収賄容疑で、業者側の「高知医療ピーエフアイ」(高知市)元工事責任者2人を贈賄容疑で逮捕し、同社や瀬戸山容疑者の自宅などを捜索した。

 瀬戸山容疑者は「すべて自分で購入した」と否認している。

 贈賄側は松田卓穂(68)(広島市安佐南区)、矢倉詔喬(のりたか)(64)(神戸市東灘区)両容疑者。当時、ピーエフアイに参加していた「オリックス・リアルエステート」(現オリックス不動産)の社員だった。

 調べでは、瀬戸山容疑者は2000年4月から院長予定者として病院施設整備の責任者を務めていた。施設内の設計変更でスペースの利用方法や医療機器の配置に関し、ピーエフアイ側のコスト抑制などにつながるように取り計らった謝礼として、松田、矢倉両容疑者から04年12月にプラズマテレビ、05年1月に冷蔵庫やソファなどを院長官舎で受け取った疑い。

 高知医療センターは05年3月の開院で、赤字だった高知市立市民病院と県立中央病院を統合した。医療行為は医師らの病院企業団(旧高知県・高知市病院組合)が、医療事務や患者の給食などの周辺業務は、オリックスなど9社が出資して設立したピーエフアイが、それぞれ担当している。

 瀬戸山容疑者は島根県立中央病院長時代に、全国で初めて「電子カルテ」を導入、病院経営の手腕が注目された。橋本大二郎・高知県知事らの要請で医療センターの院長予定者として迎えられ、PFI方式の導入を提案した。

 病院企業団は02年12月、ピーエフアイと、30年間で約2130億円の委託契約を締結。瀬戸山容疑者は02年3月、05年10月に業者と海外旅行をして問題になり、06年3月、「健康上の問題」を理由に院長を辞職した。医療センターは42診療科632床で、職員は734人。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070916i413.htm