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2007年09月17日(月) 06時48分

薬物依存症施設開設、32歳で急逝山口さんの自伝出版読売新聞

山口葉子さんの自伝「もう一度笑ってよ」
 薬物・アルコール依存症からの回復を支援する民間施設「ビッグラブクルー」(前橋市)の代表を務め、7月に急逝した山口葉子さん(享年32歳)の自伝「もう一度笑ってよ」が出版された。薬物依存を乗り越えて施設を開設し、仲間たちの回復を助ける姿がつづられ、薬物の怖さと仲間の大切さを訴える最後のメッセージとなった。

 山口さんは沼田市出身。13歳でシンナー、16歳で覚せい剤におぼれた。20歳の時には自殺未遂も経験した。

 その後、依存症患者が集まる東京の自助グループを通して回復に向かい、古里の群馬県でも患者が集まれる場所を作ろうと、2001年に開設。現在、入所・通所のメンバーは6人で、計50人以上の回復を手助けしてきた。また、学校などで薬物乱用防止の講演活動もしてきた。

 自伝出版は山口さんの夢で、昨年10月に執筆を始め、体調を崩しながらも書き続けた。だが、出版が最終的に決まった直後の7月13日に急死し、完成した本を手に取ることはなかった。

 同施設の男性メンバー(35)は「薬物を使ったとしても、『それで終わりじゃない、もう一度笑うことができる』。そんな彼女のメッセージが伝われば」と話している。

 全国の書店などで発売。問い合わせは展望社(03・3814・1997)へ。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news004.htm