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2007年09月15日(土) 10時00分

名前も入力しなかった“怠慢”社保庁の意外な反論日刊ゲンダイ

“消えた年金”5000万件のうち、524万件が名前や誕生日さえ入力されていなかった問題。社会保険庁の驚くべき怠慢がまた明らかになったわけだが、11日に記者会見した舛添厚労相は、「年金番号さえ分かれば、全部分かる」と火消しに躍起だった。524万件のうち、99.98%がサラリーマンたちの厚生年金の加入分だという。

 素朴な疑問は、なぜ社保庁職員が記録入力の際に「名前」「性別」「誕生日」を省いたかという点だ。舛添大臣は、「何千万件もあるから面倒くさくなったんでしょう」と説明していたが、社保庁側(企画課庶務係)はこう反論している。
——難しい漢字だと入力に手間がかかるため、手抜きをしたのですか?
「いえ、必ずしも怠けていたわけではありません。皆さまもご存じの通り、データ入力を開始した85年当時は、パソコンの型が古く、カナ入力しかできませんでした。漢字はそもそも入力できなかったのです」
——では、カナでは入力しているのですね?
「……。524万件のうち、493万7396件は、カナ入力もしていません。当時の職員は年金番号を頼りに管理しており、名前や生年月日を重視していなかった」
——名前も分からないのに、なぜ照合できるのか?
「払い出し簿という紙の資料が社保庁に保管してあります。そこには年金番号のほか、氏名、性別、生年月日、事業所の整理番号が記載されている。虫食いでもなければ、すべての照合が番号から可能です」
——県や事業所ごとに「名前なし」といった手抜きの偏りはあるのか?
「とくにないはずです」
——どんな名前の人が、入力されていない可能性が高いのか?
「難しい漢字や珍名は関係ありません。進藤にも『シンドウ』や『シントウ』という読み方がありますが、とくに読みが難しいから担当者が入力しなかったわけではありません」
——結婚や転職で古い年金手帳をなくし、番号が分からない人もいる。名前まで入力されていなかったらどうなるのか?
「転職、結婚で姓が変わった人のデータが欠落している可能性は高いと思いますが、とにかく払い出し簿があるので来年3月までですべての照合は完了します。それまで待って下さい」
 それが一番心配だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070915-00000009-gen-ent