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2007年09月15日(土) 08時01分

高1放火殺人事件 調書出版で強制捜査 奈良地検、漏洩容疑で鑑定医ら聴取産経新聞

 奈良県田原本町で昨年年6月、医師(48)宅が全焼し母子3人が死亡した放火殺人事件を題材にした書籍に中等少年院送致になった長男(17)らの供述調書が引用されていた問題で、奈良地検は14日、フリージャーナリストの草薙厚子さんに調書の内容などを漏らしたとして、秘密漏示容疑で、長男の精神鑑定を担当した京都市内の精神科医宅や勤務先病院、東京都内の草薙さんの事務所などを家宅捜索、この精神科医や草薙さんの聴取を始めた。

 問題となった書籍は、フリージャーナリストで元法務省東京少年鑑別所法務教官の草薙さんが今年5月、講談社から出版した「僕はパパを殺すことに決めた」。同容疑での強制捜査は異例で「言論の自由」などとの関係をめぐり論議を呼びそうだ。

 調べなどによると、精神科医は、昨年8月に奈良家裁に選任され、当時高校1年だった長男の少年審判に際し、長男の精神鑑定を担当。その後、草薙さん側に、事件の調書の写しを渡した疑いが持たれている。

 同書では、帯に「3000枚の捜査資料に綴(つづ)られた悲しき少年の肉声を公開!」と記し、「少年の供述調書より」「父親の供述調書より」として調書の内容を詳細に記述。精神鑑定書の内容や、非公開で行われた少年審判でのやりとりも引用されている。

 長勢甚遠法相(当時)は6月、「司法秩序を乱し、少年法の趣旨に反する」と批判。東京法務局は7月、「報道・出版の自由として許容される限度を明らかに超えている」とし、少年法の趣旨に反するとして同社と草薙さんに再発防止を求める勧告を行っていた。


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