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2007年09月11日(火) 12時09分

<ネット百科事典>職員が官庁支給パソコンで書き込み毎日新聞

 ネット上の百科事典として知られる「ウィキペディア」日本語版を巡り、皇室の陵墓に関する記載の一部を官庁支給のパソコンを使って業務中に削除していたとして、宮内庁の職員が、口頭で上司から厳重注意を受けていたことが分かった。一方、厚生労働省でも省内のパソコンを使った同サイトへの多数の書き込みが見つかり、中には、年金問題を追及している民主党の長妻昭衆院議員への批判的な記述もあったという。厚労省は通信履歴から書き込んだ十数人を特定し、事情を聴いている。
 ウィキペディアは、記載されている項目について、誰でも書き込みでき、常に情報が更新できるいわば「みんなでつくる百科辞典」ともいえるサイト。
 同庁によると、ウィキペディアの「天皇陵」の項目で、研究者の立ち入りや発掘が制限されていることについて「天皇制の根拠を揺るがしかねない史実が発見されることを宮内庁が恐れているのではないかという見方もある」とあった。これを読んだ書陵部の研究職の職員が「事実が違う」として同庁のパソコンで接続し、同部分を削除したという。
 同庁は「業務以外の目的に使ってはならない」とする官庁支給のパソコンの使用規則に基づき、同職員に注意する一方、全職員の支給のパソコンから同サイトへの書き込みができないようにした。同庁は「今回のケースは、あくまでも支給パソコンを決められた目的以外に使ったことへの処分。個人のパソコンでウィキペディアにアクセスすることまでも禁止したものではない」と説明している。
 一方、厚労省によると、同省のパソコンからは05年以降で100件余の書き込みがあり、趣味や業務に関する項目のほか、長妻議員への批判的な記述もあった。06年9月から一部のページを表示できないようにシステムを変更し、その後の書き込みはないという。【大久保和夫、清水健二】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070911-00000051-mai-soci