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2007年09月11日(火) 08時03分

足立区教委、試験前に学力テスト配布 校長会で問題用紙朝日新聞

 東京都が05年1月、都内の公立小中学校を対象に学力テストを実施した際、足立区教育委員会が事前に区立小中学校の校長を集め、問題用紙の一部を配っていたことが分かった。この際、担当者は「よく学習してください」などと話したという。校長側が反発したため、結果として事前の「学習」には使われなかったとみられる。

 足立区では、都が実施した06年1月と07年1月、区が実施した06年4月の計3回の学力テストで、区立小1校で教員が児童に間違いを指さして知らせるなどの不正が今年7月に発覚し、区教委は「校長の指示に行き過ぎがあった」としていた。しかし、問題の事前配布が明らかになったことで、それ以前に区教委自身が、成績アップをねらい不正を行おうとしていた可能性が出てきた。

 関係者によると、問題が事前配布されたのは、都が学力テストを実施した1月18日の約1週間前。足立区教育研究所(現・区教育相談センター)であった校長会のために集まった区立小中学校の校長たちに、区教委側がテスト問題の一部を封筒に入れて配った。区教委の担当者は「よく学習してください」「先生たちに見せてください」「扱いは任せます」などと言ったという。

 しかし、校長たちは「おかしい」と反発。区教委側は態度を変えて「校長がしっかり管理してほしい」と言い、「鍵のかかるところで管理するように」などの指示があったという。実際にテストに使う問題は、その後に人数分が送られてきた。校長会で配られた問題は試験後に返却されたという。

 足立区の斉藤幸枝教育長は「すぐに回収したので実害はなかったと聞いている」と、証言と一部食い違うものの事前配布については大筋で認め、その理由として「問題用紙と解答用紙が別になっている書式に子どもたちが慣れていないので、慣れさせるために教員向けに一部分を配ったのではないか」と話した。

 足立区は04年2月の都の学力テストで23区中最下位になり、学力向上が課題になっていた。問題を事前配布した05年1月分でもやはり最下位。都や区が実施するテストで学校ごとの正答率などをホームページで公表したり、07年度からは成績の伸び率を各校の予算配分に反映する仕組みを作ったりして学力を競わせている。

http://www.asahi.com/life/update/0910/TKY200709100295.html