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2007年09月10日(月) 15時02分

<洋上活動新法>国会承認規定を削除 政府検討毎日新聞

 政府が、海上自衛隊のインド洋での給油活動を継続するために臨時国会提出を検討している「新法案」の骨格が10日、明らかになった。活動内容は給油活動を柱に限定的なものとし、現行のテロ対策特別措置法に明記されている国会承認の規定を削除する。代わりに新法案の採決自体を国会の「事前承認」と見なす。ただ文民統制(シビリアンコントロール)を事実上、緩和することになり、野党だけでなく与党内からも反発が上がるのは必至だ。
 11月1日に期限が切れるテロ特措法は、自衛隊に派遣命令が出た後20日以内に国会の事後承認を得るよう規定している。
 新法案は、参院で否決されたり、衆院からの法案送付後60日以内に議決されなかった場合、衆院で3分の2の賛成で再可決すれば、成立する。だが国会承認規定を新法案にも盛り込めば、野党が過半数を握る参院の承認が得られる見込みはなく、結局は海自派遣が実現できなくなる。このため新法案では国会承認規定を削除。法案採決を「国会承認」と見なすことで、派遣を確実にする。
 活動の柱はあくまでも給油活動で、テロ特措法に明記されているものの近年は実施していない捜索救助や被災民救援は削除する方向。民主党の態度次第では、同党が主張しているアフガニスタンへの人道復興支援などを盛り込むことも検討するが、給油活動自体の中止を求めていることから、歩み寄りの可能性は低い。
 ただ事実上、戦争状態にある米軍などへの後方支援という憲法上議論のある活動だけに、国会承認の規定を緩めることには「主客転倒で間違った考え方だ」(政府関係者)と、政府内からも否定的な意見が出ている。【古本陽荘、田所柳子】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070910-00000055-mai-pol