記事登録
2007年09月10日(月) 23時00分

社保庁年金横領、内々処理15件 厚労相、告発見送り朝日新聞

 社会保険庁職員による年金横領問題で、同庁は10日、すでに公表済みの事案50件について、個別の手口や処分の内容などを盛り込んだ第2次調査の結果を発表した。刑事告発したのは27件しかなく、本人の退職などで処分をしなかったケースが6件にのぼることが判明。横領総額1億6849万円のうち、3539万円が未返済であることもわかった。巧妙な手口が目立つ一方、横領発覚後に上司が自主退職を促して退職金を支払ったケースもあるなど、同庁の身内への甘さが浮き彫りになった。

 524万件はオンライン化がほぼ終了した85年より前の記録が中心で、名前と生年月日が欠落しているのは29万6000件、名前と性別がないのは3900件だった。社保庁は「漢字を使うとデータ量が多くなるので、名前の入力作業自体を行わなかったのではないか」としている。

 社保庁はこの調査結果を受け、524万件のうち1000件について、データの修復が可能かどうか、サンプル調査を実施。各地の社会保険事務所に保管されている年金手帳番号のファイルや原簿をたどったところ、1000件すべての名前や生年月日などが確認できたという。

 12月から始まる5000万件の基礎年金番号への名寄せ作業には氏名、生年月日、性別のデータが必要となるが、社保庁はサンプル調査の結果をもとに「欠落のある記録も年金手帳番号や記録の原簿で名前や生年月日を割り出せるので、統合作業に支障はない」としている。

 ただ、サンプル数が少ないことから、今後の作業では名前を確認しきれない記録が出てくる可能性も否定できない。

http://www.asahi.com/national/update/0910/TKY200709100282.html