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2007年09月09日(日) 10時05分

実相再確認動き活発化 「沖縄戦、地域問題ではない」琉球新報

 10日に福岡高裁那覇支部で開かれる岩波・大江「集団自決」(強制集団死)訴訟の出張法廷や、29日に宜野湾海浜公園で行われる「教科書検定意見撤回を求める県民大会」を前に、県内で教科書問題に関する集会が相次ぎ、沖縄戦の実相を再確認する動きが活発化している。8日には、県民間教育研究団体連絡会の合同教育研究集会が琉球大学であり、県歴史教育者協議会事務局長の山口剛史同大准教授が、2000年以降の教科書をめぐる動きと、今回の同「集団自決」訴訟の原告らの動きを合わせ、「教科書検定にも裁判が利用されている」と指摘。教科書検定問題は教育運動の積み上げと、政治決着の両方の手法による解決を提案した。

 山口准教授は、「沖縄戦と教科書検定」と題して講演。これまで全国各地で教科書検定問題の講演を行う中で、「県外の方は沖縄戦の集団自決に対して、手りゅう弾や崖から飛び降りて一瞬で死ぬイメージを持っている。家族同士が殺し合った沖縄戦の実相を理解してもらう中で、今回の教科書問題を沖縄の地域問題として考えるのではなく、日本全体の歴史認識問題だということで共感が広がっている」と話した。会場からも活発に質問が出された。
 大山小学校で平和教育なども担当する迫田実教諭(51)は「教科書検定にはずっと関心はあったが、どのような手順で検定が行われ、削除が闇の中で決められていることを知ることができて良かった。沖縄だけの問題ではないし、これを機会に全国民に考えてほしい」と話した。
 7日夜には那覇市の教育福祉会館で沖縄戦の歴史歪(わい)曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会の主催で、同出張法廷の学習会が開かれ、40人が参加した。
 2年間にわたり同訴訟を見続けてきた沖縄平和ネットワークの津多則光氏が講師を務め、同訴訟の原告準備書面から原告の主張を一つ一つ抜き出し、根拠とした文書や記述を確認。その内容が正しくないことを挙げて「証言を引用するときのマナーを完全に無視している」などと指摘した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070909-00000010-ryu-oki