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2007年09月09日(日) 12時01分

架空請求詐欺:だまされたふりして取材 「論理的」で巧妙な手口 /静岡毎日新聞

 ◇「払いは当然」、強い口調
 ◇「延滞料など2万5000円かかる」→「遅れると法定手数料含む数十万円」→「3親等の親せきまで請求」
 身に覚えのない高額の支払いを要求する架空請求詐欺が後を絶たない。先日、記者の携帯電話にも携帯電話サイトの延滞料支払いを求めるメールが送りつけられてきた。だまされたふりをして取材、正当性を装い、一見、論理的で巧妙な手口を目の当たりにした。【稲生陽】
 メールの送信元は東京都港区新橋にあるという「サンライズ」。同じ電話会社間なら電話番号だけでメール送信できる仕組みを使い、請求メールを送ってきた。連絡先に取材用のダミーの番号を伝えると、「対応できない」とされたが、記者の本当の番号を伝えると、「担当者から折り返し連絡する」。しばらくして見知らぬ携帯電話から電話がかかってきた。
 「安藤」と名乗る男は「お客様が5月に登録した天気やニュースなどの総合情報サイトの滞納者リストに名前が載り、抹消するには延滞料や手数料で2万5000円かかる」と説明。さらに「翌日までに支払わないと債権回収業者も使って調査を始めるので『法定手数料』と合わせて数十万円はかかる。払わなければ3親等の親せきまで調べて請求する」と早口でまくしたてた。
 記者が正式な請求書を要求すると、「調査会社なのでリストはあるが、サイト会社から書類は受け取っていない。請求は電話の料金明細にも載らない」とかわす。
 振込先の口座番号については「入金限度額があるので振込先が変わることがある」ともっともらしく話し、番号をすぐに示さない。記者がATM(現金自動受払機)の操作を開始したと携帯電話で伝えると、初めて東京都内の信用金庫の口座番号を示した。振り込んだように装って電話すると、「また連絡する」と言って電話は切れた。
 同社の実体もあいまいで、業務内容は「法人登記はしておらず、調査や探偵業のようなこと」。所在地という新橋のオフィスビル7階にあるのは無関係のイベント会社2社だけ。ビルの所有企業は「そんな会社は聞いたこともない」と驚いた。
  ◇  ◇  ◇
 声から判断すると男は20歳代で、全く悪びれずに「支払うのは当然」と言わんばかりの強い口調だった。「相手が言うサイトに絶対に登録していない」と確信がないと、畳みかけられてくるうちに不安になるかもしれないと実感した。国民生活センターは架空請求メールが来た場合に(1)支払わずに無視(2)電話番号など個人情報は知らせない(3)証拠を保管し悪質請求は警察へ届け出る、ことを推奨している。

9月9日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070909-00000056-mailo-l22