記事登録
2007年09月09日(日) 03時04分

<収支報告書>領収書は、紛失申告で添付不要の実態毎日新聞

 政治団体が政治資金収支報告書へ添付を義務づけられている領収書について、「紛失した」と申告すれば添付せずに済む実態のあることが分かった。鴨下一郎環境相(衆院東京13区)の政治団体では約148万円分の領収書が「紛失」を理由に添付されなかったケースがあり、こうした状態を問題視した東京都選挙管理委員会は今年、政治団体に配布した手引書の記載例から「紛失」の言葉を削除した。一般の常識では考えられないずさんさが政治資金では許されている。
 政治資金規正法は、5万円を超える政治活動費を支出した場合、領収書の写しを収支報告書に添付することを義務づけている。しかし、それが難しい場合、代わりに支出目的や金額、日時などを記した「領収書等を徴(ちょう)し難かった支出の明細書」を添付することとしている。「徴し難い」場合とは、銀行振り込みや交通費を主に想定しているが、明確な規定はないため、「紛失した」と主張すれば許される形になっている。
 鴨下環境相が代表を務める自民党東京都第13選挙区支部(東京都足立区)の03年分収支報告書によると、「案内状印刷」として同年8月6日に45万7233円と12月3日に22万9341円▽「機関紙の印刷」として2月24日に80万1833円——の計148万8407円を支出したが、領収書はなく、徴し難かった事情として「紛失のため」と書かれていた。
 鴨下氏の事務所は「紛失は事実だが、詳しい経緯などは調査中。領収書がなくても、支出があったのだから報告書に記載しないわけにはいかない」と話した。
 同支部を所管する都選管によれば、鴨下環境相の例に限らず「紛失」を理由として領収書が添付されない例は毎年何件かあり、慣行として認められてきたという。担当者は「紛失自体とんでもないこと」としながらも、「(紛失を理由にした)明細書を拒む理由も権限もない。内容は真実だと宣誓されており、それを信じるだけ」と話す。都選管が発行する手引書では明細書の記載例に「紛失」もあったが、内部で問題視され、現在は削除した。
 総務省政治資金課は「収支報告の制度は、もともと領収書の紛失を想定していない」としている。【加藤隆寛】
 ▽岩井奉信・日本大教授(政治学)の話 「なくした」で済むなんて、そんなにお気楽な話があるか。「何でもあり」になってしまう。政治活動の自由を建前に、政治資金にはあまり厳しい外部機関のチェックはされてこなかったが、それは報告書の信用性が大前提。報告書のいいかげんさが分かってしまった今、国民がきちんとチェックできる仕組みの整備が急務だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070909-00000007-mai-soci