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2007年09月08日(土) 13時00分

公明・松あきら氏:繰り上げ当選「考えてもいなかった」 自民との交渉否定 /神奈川毎日新聞

 小林温・前参院議員(43)=自民=の辞職を受け7日、7月の参院選で次点だった松あきら氏(59)=公明=が正式に繰り上げ当選した。陣営の公職選挙法違反事件を理由に小林氏が辞職したことによる思わぬ形の松氏の国政復帰は、「政治とカネ」をめぐって揺れる与党の窮状を浮き彫りにした。【池田知広、写真も】
 「身の引き締まる思い。繰り上げ当選は考えてもいなかった。まだ実感は無いが、国民の皆様のために働きたい」。党で県内過去最高となる69万票余りを獲得しながら次点に泣いた松氏は7日の記者会見で、神妙な面持ちで述べた。
 公職選挙法の規定では選挙から3カ月以内に欠員が出た場合、通常は次点が繰り上げ当選するが、それ以降は補欠選挙が実施される。このため、不明朗な政治資金問題などで閣僚らの辞任が相次ぎ、「逆風」にさらされる与党にとって「この流れで補選をやっても、民主がもう1議席取るだけ」(公明市議)という意見が大勢。与党内では小林氏の早期辞職が最善だった。
 松氏は小林氏の辞職について「公選法違反はあってはならないことで残念だ。政治混乱を避けるために決断なさったのだろう」と慎重に言葉を選んだ。「連立与党として前もって相談はなかったか」と問われると、「あるわけないじゃないですか。たまたま私が次点だっただけ」と語気を強め、自民党との交渉を否定した。
 小林氏の進退をめぐっては、次期衆院選で公明の協力を得るため、自民議員から松氏に議席が行く形での小林氏の辞職を求める声も出ていた。このため自民と公明との間でやりとりがあったのではという見方もあった。が、松氏の会見に同席した上田勇党県本部代表は「事件のことは報道以外では知らず、(小林氏が)どう判断したのか分からない。国会召集前に決断されたということなのかな、というぐらい」とだけ話した。
 週明け10日から始まる臨時国会。7日に県選管から代理で当選証書を受け取った松氏の秘書が慌ただしく上京して参院事務局に届け出た。上田代表は「初日から登院できるのでよかった」と胸をなで下ろした。
 「安倍首相に対し、世間の批判があることは事実。言うべきことはきっぱりと言っていく。『政治とカネ』について私は潔癖すぎるくらい潔癖にやってきた。常に身ぎれいにして厳しい国会運営を乗り切っていきたい」と強調した松氏。「政治とカネ」の問題で得た議席だけに、一層その姿勢が問われることになる。

9月8日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070908-00000119-mailo-l14