記事登録
2007年09月08日(土) 19時40分

<C型肝炎訴訟>三菱ウ社が投与文書の保管認める毎日新聞

 C型肝炎大阪訴訟で血液製剤フィブリノゲンの投与の有無を争っていた近畿在住の40代女性原告について、被告の製薬会社「三菱ウェルファーマ」(大阪市中央区)が投与の事実を示す文書を社内で保管していながら、裁判では「投与の事実が証明されていない」と主張し続けていたことが分かった。大阪地裁で開かれた口頭弁論で、同社が文書の存在を認めた。
 弁護団によると、女性は東海地方の産婦人科医院で86年12月13日、三男を出産し、止血のため血液製剤フィブリノゲンを投与され、1週間後に急性肝炎を発症した。
 その後、症状が悪化し、訴訟準備のため「投薬証明書」を取り寄せようと医院に連絡した。カルテは既に廃棄されていたが、医師が「投与したのは間違いない」と証言し04年2月に「製剤使用証明書」を発行。女性は提訴に踏み切った。しかし同社は「証明書の信頼性がない」と主張。国も「製剤使用の記憶があるとは信じがたい」などと争っていた。
 弁護団は、同社が医療機関からの情報を基に作成し、02年8月に症例一覧表(418例記載)として厚労省に報告したリストを分析。初回投与時期を示す欄に「19861213」という、女性の出産日と一致する記載を発見し、今年6月、女性であることを示す文書の可能性が高いとして文書開示を求めていた。同社は開示には応じていないが、7日の口頭弁論で「原告への投与が確認できた」と文書の存在を認めた。
 会見した大阪訴訟弁護団の松井俊輔弁護士は「感染の事実が確認できれば自発的に知らせるべきだ」と憤っている。【川辺康広】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070908-00000073-mai-soci