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2007年09月05日(水) 08時01分

国会開会前に自民「不良在庫」一掃…小林温参院議員辞職スポーツ報知

 7月29日の参院選神奈川選挙区で当選した自民党の小林温(ゆたか)参院議員(43)が4日、陣営の出納責任者が公職選挙法違反(買収)罪で起訴されたことを受け、議員辞職した。地元・横浜市で会見した小林氏は「臨時国会を前に大きな混乱を引き起こしてしまった」と辞職理由を挙げたが、起訴された2人については「無実を信じている」と語った。公職選挙法の規定で、参院選から3か月以内に欠員が生じたため、神奈川選挙区で次点だった公明党前職の松あきら氏(59)が繰り上げ当選する。
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 遠藤武彦農相の辞任、玉沢徳一郎元農相の離党と続いた自民党で、今度は議員辞職が出た。参院野党として迎える10日開会の臨時国会を目前に控え、さながら“不良在庫一掃”の様相を呈している。

 出納責任者である公設秘書らの逮捕から約1か月ぶりに公の場に姿を見せた小林氏は「国政の停滞を招くことになるので、4日朝に辞職を決断した」と説明。一時は「遠藤氏と同時なら新聞、テレビでの扱いも小さくなる」と、遠藤前農相が辞職を決意した2日の辞表提出も模索したが、決断し切れなかった。結果的に、2日連続の「閣僚辞任、議員辞職」劇となってしまった。

 「閣僚、議員が辞め続ける末期的政権」との印象が政府、与党内に広がることとなり、自民党幹部の一人は「毎日毎日イメージが悪い。ちょっとはタイミングを考えたらいいのに」と“日替わりスキャンダル”を嘆いた。

 同種の事件では、出納責任者らに有罪判決が言い渡されるなど、連座制の適用で失職する公算が大きくなった段階で議員辞職した例がほとんど。起訴段階での辞職は異例のことだ。

 小林氏も当初「この捜査はひどすぎる」と自発的な辞職を勧める自民党関係者に捜査の不当性を訴え、辞職を拒んでいた。この日の会見中には、何度も「国政の停滞…」という言葉を繰り返し、臨時国会で野党側の追及を恐れる党の論理に従わされた悔しさもにじませた。

 仮に参院選から3か月以降に小林氏が辞職した場合は補選となるが、「補選で民主に勝てる見込みはほとんどない」(自民党県連幹部)、「与党への逆風で民主党が3議席を独占する」(公明党県幹部)などの声が上がっていた。連立与党の松氏を繰り上げ当選させることで、参院選で自民党と同じく大幅に議席を減らした公明党に「恩を売れる」という計算も働いたとみられる。

 当選から1か月あまりでのスピード辞職となった小林氏は、事件について自身の関与を否定。「全員が不起訴になると信じていた。起訴された秘書は起訴事実を否認しており、無実を信じている」とあきらめきれない様子で語った。

 ◆小林氏陣営の選挙違反事件 7月の参院神奈川選挙区で当選した自民党の小林温氏陣営の出納責任者と自民党神奈川県連職員が、大学生17人を含む運動員計24人に報酬計約150万円を支払ったとして、横浜地検が公選法違反(買収)の罪で起訴。出納責任者は罰金以上の刑が確定、県連職員は禁固以上の刑が確定し「組織的選挙運動管理者」と認定されれば、小林氏は公選法で連座制の適用対象となり、当選無効の可能性があった。運動員24人も公選法違反(被買収)容疑で書類送検されたが、横浜地検は全員を起訴猶予とした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070905-00000058-sph-soci