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2007年09月05日(水) 16時00分

参院選・小林温氏派の公選法違反:小林議員辞職会見 「捜査への影響考慮」 /神奈川毎日新聞

 ◇“雲隠れ”の釈明繰り返す
 7月の参院選神奈川選挙区で再選を果たした小林温氏(43)=自民=が4日、陣営の選挙違反事件を受けて議員辞職した。県庁で同日夕、記者会見に臨んだ小林氏は1カ月近く“雲隠れ”していた理由を「捜査の影響を考えた」と繰り返し、出納責任者らの起訴を受け辞職を決意したと説明した。会見には県連会長の菅義偉党選対総局長も同席。「国民の皆さまに大変ご迷惑をおかけしたことをおわびします」と謝罪した。【鈴木一生】
 小林氏は4日午後5時から県庁で記者会見を開いた。報道陣が詰めかけた会見室で約30分間、辞職にいたった経緯などを説明した。主な一問一答は以下の通り。
 ——辞職の経緯は?
 (出納責任者ら3人の)逮捕はまさに驚く状況だった。捜査中だったので不起訴を強く信じながら(拘置期間が満期となる)8月29日を待っていた。その結果、2人が起訴となった。事実関係はこれからの裁判で明らかになるが、私自身立法府という法を作る立場にある人間で、陣営の中から公職選挙法違反の疑いをかけられ起訴される者を出してしまった。このままでは有権者の負託に応えられないので、責任の取り方を考えてきた。先週末から関係者や弁護団に相談し、今朝辞職という形で責任をとることを決定した。
 ——出納責任者らの起訴事実への認識は?
 報道されている以上のことについては知る立場にないが、秘書(出納責任者だった鈴木美香被告)は否認をしている。そのことを信じている。
 ——辞職した最大の理由は?
 総合的な判断としか言えない。裁判には当然しっかりかかわっていく。選挙でたくさんの有権者のご信任を頂いた政治家個人としては、臨時国会開会を前に大きな混乱を起こしてしまった。その責任を取るということで辞職に至った。
 ——逮捕時から起訴されたら辞職するという考えはなかったのか?
 起訴されない可能性もあると信じて29日を待っていた。起訴された事実を受けすぐに辞職するという判断よりは、内容を検討して今後の推移を見極め、しかるべき時に判断しようといろいろ相談してきた。私なりのスケジュールにそった形で本日の決断に至った。
 ——出納責任者らが逮捕されて約1カ月間、姿を現さなかった。有権者への説明になっていないのでは?
 自分の口から説明したかったが、私の事務所の人間や手伝いに来ていただいた人らが参考人として事情聴取されていた。当事者の私が発言することが捜査の行方に大きな影響があると思って、この間正式に会見を開くことを控えた。
 ——捜査への影響は有権者への説明と関係ないのでは?
 コメントを発表させていただいて、その時点で発言できることは弁護士らと相談して県民の皆さんに伝える努力はした。
 ——逮捕、起訴後のコメントで十分だったという認識か?
 申し上げたいこともあったが、それ以上踏み込んだ中身のコメントを出すことは捜査に対する影響が大きいという判断があった。
 ——辞職すれば松氏の繰り上げ当選で、与党の議席に影響がないということも判断の一因か?
 そういう意味ではない。補欠選挙になれば選挙の期間、国政などに政治的な空白ができてしまう。そのことを避けたかった。
 ——公明党とのやりとりは?
 全くない。自公連立の枠組みは非常に大切だと思っているが、今回のことと全く関係ない。
 ——遠藤武彦元農相の辞職は関係したか?
 関係ない。29日まで逮捕された3人が不起訴になると信じながら事態の推移を見守ってきた。その後、熟慮を重ね、大局的な見地から辞職ということにした。
 ——裁判に出廷して証言することはあるか?
 今の時点ではそこまで決まっていない。新たな事実関係が判明するのを受けて、どのようにかかわれるか相談し、その都度判断していきたい。
 ——今後は?
 何も決まっていないが、しばらくどういったことができるか考えていきたい。
 ——事件になった最大の要因は?
 チェックミスが起きてしまった。候補者として管理責任があるのは否めない。そのことについては辞職にいたる大きな要因だと思っている。
 ——起訴猶予となった大学生らに対しては?
 若者の政治参加は非常に重要。事件で大変に嫌な思いをさせてしまったっただろうと思う。大変申し訳なく思う。
 ——大学生らがビラ配りをしていたという認識はあった?
 選挙にはボランティアも含め何百人を超える単位の人がいる。その中で、残念ながらそのような認識はもてなかった。もしあれば止める立場にあった。大変残念。
 ——県警や地検から任意の事情聴取は受けた?
 受けていない。
 ◇初公判は28日
 公職選挙法違反の罪に問われた鈴木、山口両被告らの初公判は、今月28日午後1時から横浜地裁で開かれる予定になっている。
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 ◇小林氏陣営の選挙違反事件◇
 横浜地検は8月29日に▽相模原市相模大野4、出納責任者、鈴木美香(33)▽横浜市磯子区汐見台3、自民党県支部連合会職員、山口聡(34)の2被告を公職選挙法違反(日当買収)の罪で起訴した。鈴木被告は小林氏への連座制適用対象者のため、地検は同日、100日以内の判決言い渡しを促す「百日裁判」を横浜地裁に申し立てた。
 起訴状によると、鈴木被告らは7月29日〜8月1日、小林氏の選挙事務所があるビル(横浜市中区)などで大学生ら20〜40歳の男女24人にビラ配りなどの選挙運動をした報酬として現金計153万円を渡した。捜査段階で山口被告は容疑を認めたが、鈴木被告は「買収はしていない」「大学生らがビラ配りなどをしていたのは知らなかった」と否認。裁判でも無罪を主張する方針だ。小林氏本人の関与にも注目が集まったが、県警は「関与を示す確たる証拠はなかった」として捜査は事実上終結している。

9月5日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070905-00000145-mailo-l14