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2007年09月04日(火) 03時02分

企業から徴収した渡航費、窓口団体が外国人研修生に渡さず読売新聞

 外国人研修・技能実習制度で来日した中国人の雇用に静岡県内の人材派遣会社が不正に介在していた問題で、日本側の受け入れ窓口となった中小企業協同組合「協同組合SEITO」(本部・静岡県函南町、組合員156社)が、外国人研修生の来日時の渡航費を受け入れ企業から徴収しながら、航空券代を研修生本人に負担させていたことが、関係者の話などでわかった。

 来日時の航空券代を含む渡航費は、企業が払うルールになっており、組合が研修生に不当な負担を求めていたことになる。

 一方、企業から組合側に入った航空券代が、どう使われたのかはわかっていない。

 同制度を運営する国際研修協力機構(JITCO)のガイドラインでは、中小企業協同組合などは本来、企業側の払った渡航費をいったん預かり、外国の送り出し機関を通じて航空券を手配する必要がある。協同組合SEITOと送り出し機関の契約書にも、企業が払うという趣旨の記載があるという。

 企業側関係者の話では、外国人研修生1人につき、10万円余の渡航費を組合側に払っており、この中には航空券代のほか、空港への送迎代、研修生向け保険料などが含まれている。しかし、複数の研修・実習生やその関係者によると、中国やベトナムなど出身国から日本までの航空券代(1人3万〜5万円)については、本人負担だったという。

 同組合は2001年に設立され、これまでに約700人の研修生を受け入れている。このうちの相当数が自分で航空券代を払った可能性があるといい、現在も東海地方のメーカーで技能実習中の男性は、「受け入れ企業が払ってくれるとは知らなかった」と驚く。

 研修生の入国時に、同組合が法務省入国管理局に提出した契約書の内容と実態が異なっていれば、虚偽の申請を禁じた同省の指針に違反する疑いも生じる。

 受け入れ企業の幹部は、「航空券代を含め渡航費を払った。本人が負担したのなら、こちらの払った分はどうなったのか」と話す。

 同組合の専務理事は取材に、「渡航費は航空券代ではなく、空港までの送迎代や研修生の保険料などに充てるために受け取っている」と説明しているが、別の役員は「渡航費は航空券代込みのはずで、研修生が航空券代を負担しているとは知らなかった。内部調査をする必要がある」としている。

 同組合を巡っては、専務理事の経営する人材派遣会社に、受け入れ企業から不正に管理費が入っていたことが判明している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070904i101.htm