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2007年09月04日(火) 19時08分

11府省、独立行政法人廃止でゼロ回答…行革相が再考要請読売新聞

 独立行政法人(独法)を所管する政府の11府省が、行政改革推進本部に提出した整理合理化計画案で、新たに廃止する法人を一つも示していないことが3日、明らかになった。

 各府省の権益に直結し、OBの有力な再就職先となっている独法の縮小に対し、官僚が強い抵抗を示した形だ。渡辺行政改革相は各府省に対し、「ゼロ回答」の再考を求める考えだ。

 計画案では、101ある独法のうち、すでに廃止方針が決まっている緑資源機構などを除き、新たに廃止する法人も、全体を民営化する法人も示されなかった。

 税関業務のコンピューターシステムを運営する通関情報処理センター(財務省所管)について、「組織の在り方を検討する」と民営化の可能性に触れたが、明記はされなかった。

 統計センター(総務省所管)、国立病院機構(厚生労働省所管)については、役職員の身分を非公務員化する方針が記された。

 一部の事務・事業を廃止、民営化する法人としては、〈1〉「健康管理センター」を廃止する国立印刷局(財務省所管)〈2〉波浪等観測事業を廃止する防災科学技術研究所(文部科学省所管)〈3〉地方事務所を統廃合する農畜産業振興機構(農水省所管)〈4〉ビジネス日本語能力テスト事業を民営化する日本貿易振興機構(経済産業省所管)——などが挙がった。

 政府は8月10日、「事務・事業の徹底的な縮減」「運営の効率化」「自主性・自律性の確保」の観点から独法を見直すことを定めた「独立行政法人整理合理化計画の基本方針」を閣議決定した。この中で「真に不可欠な事務・事業以外は廃止する」ことを掲げ、「廃止が国民生活・社会経済に著しい悪影響を及ぼすか」など、4項目の判断基準を示した。

 これを踏まえ、各府省は31日、所管する独法の見直し計画案を推進本部に提出していた。

 政府は12月末に整理合理化計画を決定する予定だが、「廃止・民営化や財政支出の大幅な削減という目に見える成果を生み出す」とした基本方針の徹底を目指す行革相と、官僚との綱引きがぎりぎりまで続きそうだ。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070904ia21.htm