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2007年09月04日(火) 03時01分

「振り込め詐欺」被害金も 遺産相続の名目 資金洗浄朝日新聞

 犯罪収益の資金洗浄(マネーロンダリング)のために銀行口座を開設したとして、ナイジェリア国籍の男らが詐欺容疑で逮捕された事件で、海外から送金された金の一部は、米国などで遺産相続を名目にした、いわゆる「振り込め詐欺」の被害金だったことが埼玉県警の調べで分かった。県警は、国際的な犯罪グループが被害者の国の実情に応じた手口で、金をだまし取り、日本に送金していたとみて逮捕した6人を調べている。

 逮捕されたのは、埼玉県蕨市錦町6丁目のナイジェリア国籍の飲食店経営アサボー・フェリックス・スティーブ容疑者(40)と妻の利恵子容疑者(42)、所沢市東所沢1丁目、運転手磯野敬一容疑者(32)ら。

 調べでは、日本人5人が開設した口座は少なくとも38あり、05年末から2年間で総計約7億円が振り込まれていた。米国や英国、カナダから100回以上に分け、入金されていたという。

 県警が米連邦捜査局(FBI)を通じて調べた事件では、「あなたには遺産相続の権利がある。相続のためには、裁判手数料や弁護士費用が必要」と資産家をだまして、金を振り込ませていたとされる。

 詐欺の手口は、ほかにもあり、1回で4500万円を振り込ませたケースもあった。県警は、犯罪グループが米国など各国で金をだまし取り、日本を中継地として資金洗浄をしていた疑いが強いとみて、口座間の金の流れなどを調べている。

 調べに対し、日本人5人は容疑を認めているが、アサボー容疑者は「犯罪になるという認識がなかった」と否認しているという。

http://www.asahi.com/national/update/0904/TKY200709030397.html