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2007年09月02日(日) 07時00分

また農相が政治とカネ問題スポーツ報知

 遠藤武彦農相(68)が組合長を務める「置賜農業共済組合」(山形県米沢市)が、農業共済の加入者を水増しするなどの手口で、農業災害補償法に基づく掛け金115万円を国から不正に受給していたことが1日、明らかになった。遠藤農相は同日、謝罪したものの、辞任しない考えを明らかにした。安倍内閣の農相は、事務所費問題をめぐり松岡利勝氏が自殺、赤城徳彦氏が更迭されており、またも“政治とカネ”の問題に見舞われることになった。
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 “鬼門”とされていた農相にまたも不祥事が発覚した。自らがトップを務める置賜農業共済組合の不正受給が明らかになった遠藤農相は会見を開き「大変ゆゆしい問題。国民の目線からすると申し訳ない問題だ」と謝罪したが、農相の職については「最大限努力したい」などと、辞任の考えがないことを繰り返した。

 山形県経営安定対策課によると、同組合は99年産のブドウの被害を補償する農業共済で、農家の名前を勝手に使って申込書を偽造するなどして加入者105戸分を水増し。国の補助金約115万円が不正に組合側に支払われた。掛け金の加入者負担分は当時の組合の担当課長2人が負担していたという。

 検査院では04年6月の実地検査で不正を把握し山形県に指摘したが、不正受給分はいまだに返還されていない。農相は3年以上前に報告を受けた。未返還の理由を「県と会計検査院からの指示を待っていた」と説明、「私は実務にはタッチしていない」とも述べた。

 今年5月、検査院は県に指摘事項が未処理だと連絡、県は農水省と返還方法の協議を始めた。県は未返還の理由を「県の担当者が病欠しているため」と説明している。

 共済掛け金は農業災害補償法で国と加入者が折半する制度になっている。遠藤農相は1982年に組合長理事に就任。組合長理事については辞任する意向を昨夜、組合幹部に伝えたという。

 “政治とカネ”の問題をめぐっては、今年5月、事務所費問題を指摘されていた松岡利勝元農相が自殺。その後任に就任した赤城徳彦前農相も事務所費問題を追及され、わずか2か月で更迭されたばかり。遠藤農相も先月28日の就任会見で「最後に残ったポストを割り当てられ、参ったなと思った」との本音を漏らしていた。

 農水省の補助金を不正に受け取った組織のトップが農相に就任しただけに波紋を広げるのは必至。安倍内閣3人目の農相に、早くも暗雲が漂ってきた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070902-00000085-sph-soci