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2007年09月02日(日) 15時32分

同和枠280億円不良債権 21府県実施中小企業資金朝日新聞

 都道府県などが融資する中小企業高度化資金のうち、同和対策の一環として設けられた「地域改善対策枠」による貸し付けについて、21府県で残高の72%に当たる280億円余りの返済が半年以上滞り、不良債権化していることがわかった。高度化資金の延滞率は全体では17%で、同枠の回収率の悪さが突出している。行政側の融資審査の甘さや回収努力の不十分さが原因とみられる。延滞分のうち約125億円は「破綻(はたん)先債権」に分類され、回収が困難視されている。

 朝日新聞が地域改善対策枠での融資実績がある21府県と、共同で融資にあたっている経済産業省所管の独立行政法人「中小企業基盤整備機構」(中小機構)に取材した。群馬、滋賀、京都の3府県は金額を明らかにせず、不良債権額はさらに膨らむ見通しだ。

 06年度末の21府県の高度化資金全体の貸付残高は、約3087億円。うち地域改善対策枠は1割超の約388億3000万円で、返済日から半年以上経過しても未回収の「延滞残高」は約280億6000万円だった。このうち4割を超す約125億8000万円が、貸付先の組合などが休業したか、銀行取引停止処分を受けた破綻先債権だった。

 府県別にみると、愛知、兵庫、福岡など11県の延滞率は100%。うち長野、岡山、高知、大分、宮崎の5県で貸付残高すべてが破綻先債権だった。延滞残高、破綻先債権の金額が最も多かったのはいずれも和歌山県で、延滞残高が約91億9000万円、破綻先債権が約27億6000万円だった。

 一方、貸付残高34億円超の大阪府は延滞がない。府が各市に融資し、市が施設を建設して、組合などに賃貸しする方式をとっているためだ。

 延滞債権とは別に奈良、兵庫、和歌山、福岡の4県には、債権が税法上の時効などで回収不能となった「不納欠損金」があり、計約19億8000万円を簿外処理していた。滋賀、鹿児島両県は議会の議決を経て計約17億4000万円の債権放棄に踏み切った。

http://www.asahi.com/national/update/0902/OSK200709010060.html