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2007年09月02日(日) 12時02分

遠藤農相:補助金不正問題 置賜農済組合長の農相地元、関係者にショック /山形毎日新聞

 置賜農業共済組合(米沢市)で農作物被害などを補償する農業共済の掛け金115万円を国から不正受給していた問題は、組合長を務める遠藤武彦農相の地元である米沢市の関係者に大きなショックを与えた。8月末には遠藤農相が代表の自民党県第2選挙区支部で、補助金団体から5万円の不適切献金を受けていたことが判明するなど、遠藤農相自身に浮上した「政治とカネ」の問題。初入閣した際は農政通として農業関係者から期待されただけに、支持者らは戸惑いの表情をみせ、対応に追われた。
 米沢市の置賜農済では、高橋尚男副組合長や県議の平弘造職務代理理事らが緊急役員会の後に会見した。農業共済の掛け金は組合員の農家と国が折半して、被害のあった農家に共済金を支払う仕組み。県などによると、当時の課長2人が自ら掛け金を負担したうえで、無断で農家の名前を使って加入農家数を水増しし、国から115万円の補助金を不正に受給した。
 しかし、高橋副組合長らは水増ししたことは認めたが、補助金の不正受給については「ニュアンスが違うのでは」と報道に不快感を示した。置賜農済によると、国の115万円は県農業共済組合連合会に入り、新たに被害が確認された時に備えてプールしているので、置賜農済自体は補助金を受け取っていないからだという。また、置賜農済内のチェック機能については「実際の金の流れがなかったので分からなかった」と釈明した。
 一方、米沢市門東町2の遠藤農相の事務所には、朝から報道陣が訪れたが、遠藤農相が上京して不在のため、目立った混乱はなかった。職員によると、報道陣のほか支援者からも事務所に電話があり「大変だな」「どういう状況になってる」などと問い合わせがあったという。職員は「(遠藤農相は)今日は戻ってこないと思う」と話した。
 問題の発覚を受け、地元の支持者や有権者らは一様に驚いた表情をみせた。同市竹井の会社経営の男性(58)は「遠藤さんは共済組合長が長過ぎる。農相になった時には、共済関係ですぐにぼろが出るだろうと思っていた」と話した。また、長年遠藤農相を支援する同所、農業の男性(81)は「農相になった時は皆で喜んだが、話を知りショックを受けた。なぜこんなふうに相次いで問題が出てくるのか」とうなだれた。
 熱烈な支持者という近くの農業の男性は「職員が勝手にやったことで遠藤先生には関係ない」と声を荒らげた。同市上新田の農家の男性(40)は「大詰めを迎えるWTO(世界貿易機関)の多角的貿易交渉やEPA(経済連携協定)に影響が出るのでは」と心配。遠藤農相と同学年という同市五廟の男性(68)は「自民党を支持してきたが、これだけ不祥事が出てくれば支持できなくなる」と話した。【湯浅聖一、大久保渉】

9月2日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070902-00000102-mailo-l06