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2007年09月01日(土) 12時49分

遠藤農水相、3年前に不正把握「大臣職は全力尽くす」朝日新聞

 遠藤武彦農林水産相がトップを務める置賜(おきたま)農業共済組合(山形県米沢市)が国の補助金を不正に受給していた問題で、遠藤農水相は1日午前、農水省で記者会見を開き、少なくとも3年前に不正の事実を把握していたことを認めた。「李下(りか)に冠を正さずという思い」と語り、同農済の組合長を辞任する考えを明らかにした。一方、大臣職については「全力を尽くす」と語り、辞任しない意向を示した。

記者会見する遠藤農水相=1日午前、東京・霞が関の農水省で

 この日は防災の日。遠藤農水相は閣僚全員が参加した訓練のあと、防災服姿で会見にのぞんだ。

 不正受給はいつ認識したのか——。「3年以上前だと思う。報告を受け、(職員に)『何をやっているんだ』としかった覚えがある。『そんなことまでして実績を伸ばすことはない』と厳しく言った記憶がある」。その後の対応については「国は半分負担しており、大変なことである、と(組合職員に)指示した。由々しき問題だなと感じ、すぐに県に行けと言った記憶がある」と語った。

 不正受給した補助金をなぜ返還していないのか——。遠藤農水相は「会計検査院なり、監督官庁である県、および国からの指示を待っている状態。返還、未返還を含めて指示待ち」「(指摘をしてきた)会計検査院がどのようにしろと、返還が果樹共済だけなのか、ほかに及ぶのか、私どもが判断することではない」などと釈明し、返還のために自ら動かなかった点については、「何かしようがあるんですか?」と気色ばんで反論した。

 大臣就任に際し、問題だとは思わなかったのか——。遠藤農水相は「正直なところ、(問題に)思い寄らなかった」と述べた。安倍首相には「伝えていない」という。

 進退については、「日本の農業、農政の解決の糸口を見つけるよう、最大限の努力をしていくという決意を新たにした」と話し、辞任を否定した。大臣の資格があると思うかとの問いには「総理が判断すること」と答えた。

 不正受給は辞任に値しないのか——。こう問われると、うつむきながら間をおき、「大変な不祥事とは思っている。ただこれをもって大臣を辞めて、さらに問題を大きくするようであってはならない」と話した。

 一方、組合長理事の辞任について、遠藤農水相は8月31日に急きょ山形に戻り、「組合の参事に辞任の意向を伝えた」と説明した。今後、上部団体の山形県農業共済組合連合会会長理事、全国農業共済協会理事の役職も順次、辞職の手続きを進めるという。

 遠藤農水相をめぐっては補助金交付を受ける畜産関連団体からの不適切な献金と今回の補助金の不正取得が相次いで発覚している。次に問題が発覚した際の責任については、「二度とあってはならないというのが普通なのだろうが、私も確約できるものではない」と述べるにとどまった。

http://www.asahi.com/national/update/0901/TKY200708310406.html