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2007年08月31日(金) 00時00分

酷暑・納涼読売新聞

 まさに“炎熱地獄”のようだった今年の夏もようやく終盤。日本人なら「うだるような酷暑だね」と言うところを、米国人の同僚は It’s so hot you could fry an egg! つまり、「目玉焼きが出来るほど暑い」としました。ゆでると焼くの発想の違いですね。

 他方、日本に滞在した経験のない外国の知人たちに高温多湿( hot and muggy )な日本の夏の厳しさを英語で伝えようとすると、一筋縄では行かないことがあります。例えば「夏バテ」。直訳すれば Exhaustion due to summer heatです。

 一方、朝日出版社の「E‐DIC英和・和英」(CD‐ROM)収録の最新日米口語辞典では、倦怠(けんたい)感や無気力を表す lethargy を使い、 summer lethargy と訳した上で、「冷房のないころ、夏バテは事務労働者にとって深刻な問題だった」( Before air conditioning, summer lethargy was a serious problem among office workers)の例文を紹介しています。

 「夏バテ」で食欲が衰えて体重が減る「夏やせ」は、 summer slimming とすれば伝わるでしょうか。

 「夏の暑さで何もせずに体重が落ちるなんてすてき」なんて言う外国人女性は日本の夏の暑さと湿気を分かっていない。( A foreign woman who says it’s great that you can lose weight in the summer heat without actually having to do anything has yet to understand the sheer intensity of heat and humidity of Japanese summers )と言えるかも知れませんね。

 夏にまつわる日本語表現で、英訳が難しいものの中に、「納涼」も挙げられるでしょう。暑い盛りに涼しさを楽しむことを指し、「納涼花火大会」「納涼セール」などと使われるのはご存じの通りです。

 「夕べ、子供を連れて納涼花火大会を見物したよ」を、英国人の同僚は、 I enjoyed the refreshing summer fireworks display with my kids last night. と訳しました。納涼の語感が良く伝わっているように思います。

 しかし、「納涼セール」に、同じ refreshing はあまり、ぴったり来ないようで……。(上羽宏幸記者)

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