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2007年08月30日(木) 21時04分

小学校授業時間、30年ぶり増 高学年は英語も 中教審朝日新聞

 文部科学省は30日、学習指導要領改訂の基本的な考え方と小学校の教育課程の枠組み素案を、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の教育課程部会と小学校部会にそれぞれ示した。小学校では、主要教科の授業時間を約1割増やし、高学年で「英語(外国語)活動」を週1コマ(45分)程度設け、現行指導要領から導入された「総合的な学習の時間」(総合学習)は週1コマ程度減らす——という内容。小学校部会は、素案をおおむね了承し、教育課程部会も基本的な考え方について合意した。

 小学校の授業時間は77年に告示された指導要領から減少傾向で、素案が正式決定すれば、これ以来の方針転換となる。教育課程部会が合意した「基本的な考え方」では、中学校の必修教科の授業増を提案しており、中学校でも小学校と同様の方向で指導要領の見直しが進むことになりそうだ。中教審は年度内の改訂を目指して作業中。早ければ、11年春から施行される。

 素案は、(1)小学校低学年では、学力の基礎を培う国語、算数、体づくりのもととなる体育を増やす(2)中学年では、これらの教科に加え観察・実験を行うため理科を増やす(3)高学年では算数、理科を重視(4)社会についても中高学年で若干増やす——が主な内容。

 総合学習などで教えられている英語については各校で取り組みにばらつきがある。このため、「教育の機会均等の確保や中学校との円滑な接続の観点」から、高学年で「英語活動」を新設し、週1コマ程度を全国一律に実施する。

 逆に、3年生以上の総合学習で期待されている「知識を活用して考える力の育成」は、授業時間を増やす各教科で充実が期待されることや、「英語活動」の時間を新たに確保する必要があるため週1コマ程度減らす。

 こうした増減の結果、授業時間の合計では、低学年で週2コマ、中高学年で週1コマ程度増える。

 一方、文科省は教育課程部会に示した「基本的な考え方」で、思考力や判断力、学習意欲、学習や生活の習慣、体力などに課題があると指摘した。

 「生きる力」を育成するには、実験・観察やリポートの作成、論述などの学習活動を充実させ、思考力や判断力などをより高めることが必要と判断。このため、必修教科の授業を増やし、総合学習や中学の選択教科を減らす方向で、年間授業時間の増加を検討する必要があるとした。

 改訂の基本的な考え方は、現行の指導要領が掲げる「生きる力」の育成を引き続き目指すものだ。「ゆとり教育」の理念を残し、「達成するための手法として授業時間を増やした」と文科省は説明する。

http://www.asahi.com/life/update/0830/TKY200708300350.html