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2007年08月29日(水) 10時17分

親イスラム大統領就任式、軍首脳が欠席 トルコ朝日新聞

 28日選出されたトルコのアブドラ・ギュル新大統領は同日夕、国会での宣誓式に臨んだ。大統領は国是の世俗主義堅持と国民融和を呼びかけたが、世俗主義の守護者を任じる軍首脳らは式典を欠席。初の親イスラム政党出身の大統領就任に、旧来のエリート層の根強い抵抗感を見せつけた。世俗主義勢力はイスラム教の象徴であるスカーフを着用する大統領のハイルニサ夫人の動向にも神経をとがらせている。

 ギュル大統領は宣誓後の演説で「偏りなくすべての国民に奉仕する」と語った。「世俗主義の価値は自由を守り、社会の衝突を未然に防ぐことにある」とも述べた。

 しかし、式には大統領選で投票をボイコットした共和人民党(CHP)の議員ほか、軍のビュユクアヌト参謀総長や陸、海、空軍トップも軒並み姿を見せなかった。大統領は軍の最高司令官。同参謀総長は前日発表した勝利記念日の所感で「悪の勢力が計画的に世俗主義をむしばもうとしている」と表明しており、欠席はギュル氏の大統領就任に対する「無言の抵抗」と見られている。

 大統領一家は世俗主義の象徴、アタチュルク初代大統領がかつて住んだ大統領官邸に移ることになるが、CHPのバイカル党首らは「スカーフをかぶった者の官邸入りは共和国への攻撃だ」と訴えてハイルニサ夫人の官邸入りを牽制(けんせい)してきた。政治問題化を防ぐため、大統領一家が官邸入りを遅らせるとの見方も出ている。

http://www.asahi.com/international/update/0829/TKY200708290040.html