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2007年08月29日(水) 12時58分

負傷系少女萌えを生んだ「エヴァ」オーマイニュース

 1990年代を代表するテレビアニメで、放送開始の1995年以来、現在にいたるまで大人気である「新世紀エヴァンゲリオン」。その12年ぶりとなる新作映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」が、9月1日から全国公開される。

 いうまでもなく多くのファンをもつ作品。それだけにさまざまな「エヴァ現象」が、盛り上がっている。

 たとえば作品の舞台となる特務機関「NERV」のシンボルマークを入れた「浴衣」が売られている。彫刻を施した「オイルライター」も、イラストを配したオフィシャルな「缶コーヒー」もある。コンビニには「原作コミック」に加えて、多数の作家が執筆する「アンソロジーコミック」も並んでいる。もう、どこまでが配給会社が仕掛けたキャンペーンか、どこからが便乗商売なのかわからない状態だ。

 ワニブックスから7月に発売された負傷系萌えの女の子を集めた写真集エヴァには「綾波レイ」というヒロインが登場する。彼女の魅力がエヴァ人気のもっとも大きいファクターといっても過言ではないだろう。

 その登場シーンが衝撃的であった。身体のアチコチに包帯を巻いた、傷だらけの姿だったのだ。14歳という設定上の年齢の少女が、片眼までを包帯で覆い隠している残酷な描写は、視聴者に大きな衝撃を与えたにちがいない。

 この「綾波レイ」の姿は、盛り上がりつつあった「コスプレブーム」によって、多くの「包帯コスプレ」少女を生んだ。このムーブメントは、ある種のフェティシズムの一種としてとらえられ、文化へと昇格。「負傷系」と呼ばれて、「ケガドル!」(ワニブックス)という写真集まで生まれている。

 生理的嫌悪感を抱く人もいるかもしれないが、私は子どもも見るアニメ作品の中から、こういったディテールを切り取っていくアニメファンには、文化系趣味における日本代表と認定して、ほまれを与えたいと思う。これをもって「DVを助長する」とか「自傷行為を推奨する」といった批判は当たらない。

 9月1日から公開される映画は、以前のテレビシリーズとは、まったく異なる完全新作となるそうだ。新作にもかかわらず、パブリシティ記事には、あいかわらず右目にまで包帯を巻いた綾波レイの姿がある。

 賛否はどうであれ、エヴァンゲリオンの象徴的なシーンは、ロボットよりも「包帯少女の綾波レイ」なのである。

(記者:北澤 強機)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070829-00000003-omn-movi