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2007年08月29日(水) 19時41分

グーグルCEO、「ネット検閲を非関税貿易障壁に」と主張CNET Japan

 検索エンジン業界大手、Googleの最高経営責任者(CEO)は、表現の自由を守るため、インターネットにおける検閲を非関税貿易障壁として認定するよう求めている。

 検索および広告業界大手であるGoogleのCEO、Eric Schmidt氏は、インターネットにおける検閲を貿易障壁として扱うべきだと主張した。

 Schmidt氏は米国時間8月21日、米国のシンクタンクProgress & Freedom Foundationが開催したカンファレンスで 講演 を行った。この中で同氏は、表現の自由を守るために各国政府はインターネット検閲を非関税貿易障壁と捉えるべきだと呼びかけた。

 「インターネットは今日の自由市場と開かれた競争を生みだしており、その成果は驚くべきものだ。私たちはこれを自由で開かれたものとして維持しなければならない。さもないと深刻な問題が生じる」(Schmidt氏)

 続けてSchmidt氏は「オンライン化が進む言論について、その自由を私たちは守り抜く必要がある。例えば、インターネット検閲を非関税貿易障壁と捉えることもできるだろう。というのも、政府、特に非米国的な政府の場合は、自国民に力を与えることが怖くなると、程度の差はあれ、住民を統制しようとする動きが生まれてくるからだ。好ましくないコンテンツの基準は何か、国家間で法律がどう違うのかなど、いろいろな問題があるが、これは全世界を巻き込んだ現象なのだから整理する必要がある。今すぐにでも始めるべきだ」と語った。

 Googleは過去に、中国で自主的に検閲を実施して批判を受けたことがある。2004年、GoogleはEpoch Timesといったニュースサイトへのリンクを削除したとして批判された。中国国内からの検索をシミュレートするために中国のプロクシから検索を行ったところ、Epoch Timesのように中国政府が禁止しているサイトからのニュースのリンクが、検索結果に含まれなかったのだ。

 Epoch Timesの英語版によると、同サイトは中国共産党から禁止されたものや、中国国外の中国語ニュース通信社の多くが「取り扱いが難しすぎる」と敬遠するようなコンテンツも掲載している。同サイトでは、例えば、中国でのエイズの流行や、中国政府の汚職疑惑、チベット占領、人権侵害疑惑といったテーマが取り上げられている。

 Googleで欧州における企業コミュニケーションと広報を担当するディレクター、Rachel Whetstone氏は、同社が中国で自主検閲を実施しながら、一方で言論の自由を促進することに矛盾はないとしている。

 「現地の法律に従う必要があるため、中国ではリンクしないよう義務づけられている情報もある。これは言論の自由と相容れないわけではなく、矛盾もない。中国の発展を促す最良の方法は中国と関わりあうことであって、中国を遠ざけることではない。確かにわれわれは中国で情報を削除しているが、削除したことを明確に示している。これを行っている検索エンジンは中国ではわれわれだけだ。中国でサービスを行うことでより多くの情報を提供できるし、削除するのはほんの一部に過ぎない。1%を削除し、99%を提供している。こうした姿勢に異論がある人がいることは承知している」とWhetstone氏は話している。

 Whetstone氏は、Googleが中国の巨大な広告マーケットに経済的関心があることは認めながらも「もちろんわれわれは営利企業だ。しかし、もし意味のある情報を提供できると考えられなかったら、そもそも『Google.cn』を開設することはなかっただろう」と語った。Whetstone氏はさらに、Schmidt氏の呼びかけは米国政府に向けられたものだが、英国を含むあらゆる政府に対するものでもあることを付け加えた。

 ほかにも、Schmidt氏は今回の講演の中で、各国政府に対し、世界中どこにいてもブロードバンドにアクセスできるように業界と連携して取り組むこと、「ネットワークはコンテンツの内容にかかわらず、中立であることを確約」すること、ならびに自国民に対する透明性を高めることを呼びかけた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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