記事登録
2007年08月27日(月) 14時04分

性行動の低年齢化は女子主導──過去30年でこう変わったオーマイニュース

 キスや性交は、1970〜80年代は大学生で初めて経験する人が多かったが、90年代以降は中学・高校生で経験率が上昇する——。

 青少年におけるデート、キス、性交といった性行動の、過去30年間の変化を示すデータがこのほどまとまった。(財)日本性教育協会が「青少年の性行動全国調査」をもとに、分析した。特に1999年から2005年にかけて、高校生女子のキス経験率や性交経験率が男子を上回っており、近年の性行動の低年齢化は女子が主導していることがうかがわれた。

 1974年に始まった同調査は、一部「自慰」などの単語を時代に合わせて変えている以外、毎回同じ内容の質問を用いているのが特徴だ。

 対象は全国の中学、高校、専門学校、大学生で、毎回5000〜5500人ほど。調査方法は対面聞き取り式。今回は、直近の第6回調査(2005年、調査対象5510人)の結果を加えて、分析した。 

■デート
 
 まずデートでは、大学生は74年の調査開始当初で男女とも7割が、93年には8割が経験していた。高校生のデート経験率は05年で6割程度で、30年間一貫して女子が男子を上回っていた。また、中学生のデート経験率は、05年には男女とも20%を超えた。

■キス

 キスでは、大学生男子の経験率は74年の45%から一貫して上昇、99年に70%に達したが、それ以降頭打ちとなっていた。一方の大学生女子の経験率は、99年まで男子を下回っていたものの、99〜05年に10ポイント近く伸びて、男子とほぼ同じ経験率となり、キス経験における性差は消滅した。

 高校生のキス経験率は、男女とも74年から87年まで25%程度で推移していたが、90年代から女子が男子を上回る形で急速に伸びた。05年のキス経験率は、男子48%、女子52%。一方、中学生のキス経験率は、87年に数%しかなかったが、05年には15%を超えた。特に女子は20%に達し、5人に1人が中学時代にキスを経験していることが分かった。

■性交

 性交の経験率は、男子大学生で74年の23%から93年の57%へと大きく伸びた。ただ、その後は頭打ちとなり、99年、05年とも63%程度で推移している。一方、女子大学生の性交経験率は、74年に1割しかなかったが87年ごろから急上昇。99年には5割、05年には6割に達し、ここでも性差はなくなってきた。

 高校生の性交経験率は、93年から99年にかけて、男子で14%から27%、女子で15%から24%と大きく伸びた。ただ、その後99〜05年に男子が停滞したのに対し、女子は上昇を続けて30%と、男子を追い越した。中学生の性交経験率は男女とも5%未満にとどまった。

 8月26日に東京都内で開かれた日本思春期学会で、同結果を報告した東北学院大学教養学部の片瀬一男教授は、「地域差や都市の規模による差は認められなかった」と説明した。

 「中学・高校生に関しては、70〜80年代はメディアで言われるほどの性行動の活発化はなかったと言える。だが、90年代以降は高校生で経験率が急上昇、特に99〜05年は、キス・性交で女子が男子を上回るようになった。90年代以降に指摘される性行動の低年齢化は、女子によって担われている傾向がうかがえる」

 今後は、30年分の蓄積データを元に、こうした性行動の変化が、時代によるものなのか、加齢によるものなのか、などを解析していくという。

 1974年から2005年のあいだに思春期を送られた方は、自分の経験が早かったのか、遅かったのか、振り返ってみると面白いかも知れない。

(記者:軸丸靖子)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070827-00000003-omn-soci