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2007年08月26日(日) 12時24分

板橋死体遺棄 犯行グループ、“奇妙な面々”産経新聞

 ■ベンツに乗る青年実業家、職業不詳の「ヒルズ族」、新幹線止めた覚醒剤常習者
 東京都の不動産会社経営、冨田威裕さん=当時(29)=の遺体が群馬県で見つかった事件で、冨田さんは、主犯格のコンサルタント会社役員、篠沢大介容疑者(36)から出資した会社の清算金名目で3500万円を受け取る予定だったことが分かった。警視庁はこの回収をめぐってトラブルになり、殺害されたとみている。死体遺棄容疑で逮捕された4人は「振り込め」などの詐欺グループとみられるが、篠沢容疑者は青年実業家。ほかの容疑者も職業不詳の「ヒルズ族」、覚醒(かくせい)剤常習者など、さまざまな顔を持つ。警視庁はグループの全容も調べる。
 ▼出資トラブル
 冨田さんは実家が資産家で、新宿区河田町にあったフジテレビ跡地に建つ高級賃貸マンションに住んでいた。
 高島平署捜査本部の調べでは、冨田さんは篠沢容疑者からマネジメント会社設立で出資を持ちかけられた。行方不明になった5月31日、父親に「出資金が焦げつき、回収してくる」と、篠沢容疑者が拠点としていた新宿区のマンションに出かけたという。冨田さんは首の骨が折れ、体にあざがあった。返済を迫って暴行され、首を絞めて殺害されたとみられる。
 冨田さんの会社によると、冨田さんは清算金として、3500万円を返済される予定だった。しかし、調べでは、確認できた出資は約2000万円にとどまる。さらに、冨田さんに渡された複数の借用書にも筆跡が異なったり、住所が違うなど改竄(かいざん)された形跡があった。
 篠沢容疑者について、冨田さんは「信用していいのか」と漏らしたことがあった。不安は事件に巻き込まれる形で“的中”してしまった。
 ▼「送っただけ」
 「1655万円を冨田さんに渡して新宿まで車で送っただけ」。こう犯行を否認している篠沢容疑者について、知人の一人は「20〜30人の社員を抱え、ベンツに乗る青年実業家。若手起業家集団と思った」。都内の中小企業家の連合会にも加盟していた。
 篠沢容疑者らが詐欺グループとみられるのは、遺体が運び出された板橋区高島平のマンションの名義人の男(29)が代表取締役となった実体のない会社が振り込め詐欺に使われたためだ。
 篠沢容疑者と仕事上の知り合いとみられる高科龍軌容疑者(31)は六本木ヒルズ居住だが、調べでは「職業不詳」。詐取した金で「ヒルズ族」となったのか。
 須和名聡容疑者(32)は高科容疑者と高校の同級生。過去に数回、覚せい剤取締法違反で逮捕され、護送中に暴れてホームに転落、新幹線をストップさせたことがある。鳥海正彦容疑者(41)についても、共犯として逮捕状が出ている男の仲間というぐらいしかわかっていない。現在も行方不明の名義人の男は多重債務者だった。捜査幹部は「わかっているのは4人に金があったということ。グループには接点も含め不明な点が多い」と話している。

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