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2007年08月25日(土) 15時03分

<OHT株事件>監視委、証券各社を検査へ毎日新聞

 東証マザーズ上場の電気検査装置メーカー「オー・エイチ・ティー」(OHT、広島県福山市)株の相場操縦事件で、証券会社数十社の損失総額が約130億円に達することが証券取引等監視委員会の調べで分かった。信用取引をしていた弁護士(53)=証券取引法違反(相場操縦)容疑で捜索=が株の暴落後、代金を支払わないまま行方不明になったためで、証券監視委は違法な疑いのある取引を見抜けなかった管理態勢に問題があったとの見方を強め、近く証券各社を一斉検査する方針を固めた。
 ◇信用取引…損失総額130億円
 10万〜20万円台で推移していたOHT株は、05年10月ごろから上昇。今年1月に150万円の最高値をつけたが、5月中旬に急落し、6月には13万円台まで落ち込んだ。この間、弁護士は約10人の投資家の名義を借りて巨額の信用取引を繰り返し、相場をつり上げた疑いがあり、東京都港区の六本木ヒルズにある弁護士の事務所が先月、さいたま地検の家宅捜索を受けたことが既に判明している。
 問題の売買はインターネットを使った取引。弁護士が投資家に詳細な説明をしないまま、勝手に巨額の注文を出していたとされる。このため、証券監視委は(1)本人確認が適切だったか(2)株価が乱高下するなか不自然な売買注文を漫然と受けていなかったか——など、証券各社のチェック態勢を調査する必要があると判断した。
 弁護士が行った信用取引は、売買額の40%程度の保証金を証券会社に支払うもの。証券各社は株価暴落後、追加の保証金(追い証)の支払いを求めたが、弁護士は行方不明になり、名義人の投資家らも支払い不能に陥った。毎日新聞が未回収金額を尋ねたところ▽大和証券は約10億9000万円▽SBIイー・トレード証券は約9億円▽松井証券は約7億6000万円▽東洋証券は約4億9000万円——などと回答した。被害は数十社に及ぶが、証券監視委は検査対象を、被害が一定額を超えたり、態勢が不十分である疑いの強い社に絞り込む方針。
 ◇信用取引 顧客が証券会社に担保として保証金を差し入れ、保証金の2〜3倍程度の株取引を行う行為。成功すれば大きな利益が得られる反面、失敗した場合の損失も大きくなるハイリスク・ハイリターンの取引。証券会社は顧客から売買注文を受け、自社名義で市場に注文を出す。取引銘柄の株価が下落すれば、下落分の損失を穴埋めするため証券会社は顧客に追加の保証金(追い証)の支払いを求める。顧客側が支払い不能となれば証券会社の損失となる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070825-00000034-mai-soci