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2007年08月23日(木) 00時00分

東芝がリベート密約? 次世代DVD規格普及に向けZAKZAK

米紙が報道、日本の消費者に影響も

 パラマウントは『ゴッドファーザー』や『ローマの休日』などを手がけたハリウッド映画大手。もともとHD陣営にだけ作品を供給する方針だったが、途中でBDも支持する“両にらみの戦法”に転換していた。ところが、ここにきて再びHD単独支持に戻った。

 この経緯について米ニューヨーク・タイムズ紙は、パラマウントの親会社のメディア大手バイアコム幹部の話として、次のように報じた。HDを単独支持する見返りとして、現金や販売促進の報酬の形で計1億5000万ドルを東芝側から受け取る、と。さらに、東芝がHDのキャンペーンでドリームワークスのアニメ『シュレック3』を使うことも明かされた。

 夕刊フジが東芝に事実確認すると、「特に当社からコメントすることはない」(広報室)と否定も肯定もしなかった。

 “パラマウントショック”は各方面に混乱を招いている。同社制作で公開中の映画『トランスフォーマー』のマイケル・ベイ監督が、個人のブログでパラマウントのBD撤退に激怒し、「パート2はやらない」とタンカをきった。ところがその後、削除し、「あれは酔っぱらって書いた」「パート2もやるかもしれない」と発言を“トランスフォーム”させてしまった。

 さらに、日本の消費者にも影響は波及。パラマウントホームエンタテインメントジャパンは、店頭のBD作品は販売を継続するが、新たな出荷を停止。10月に発売予定だったトム・クルーズ主演の人気映画『トップガン』のBD版の発売は中止となってしまった。

 同作品の予約を受け付けていた通販サイト大手アマゾンのDVDベストセラーランキングでは、23日朝の時点でBD版が76位だが、実際に発売されるHD版は1639位と大差が付いている。

 日本の消費者を置き去りにした決定の背後にあるのは、最大の市場である米国での競争だ。東芝は米国で299ドル(約3万4000円)のHDプレーヤー(再生専用機)を投入しているが、BD陣営の499ドル(約5万7000円)よりかなり安いため、価格重視の米国では一定のシェアを確保している。

 ハリウッド映画大手でHD単独支持はこれまでユニバーサルだけ。ソニー・ピクチャーズやウォルト・ディズニー、20世紀フォックスは対抗するBDにのみ作品を供給している。ソフトの面で劣勢に立たされていたHD陣営は、パラマウントとドリームワークスを取り込み、『トランスフォーマー』や『シュレック』を武器に、クリスマス商戦に臨む狙いだ。

 米国内の競争に巻き込まれた日本市場。「年末に次世代DVD市場を盛り上げようとしている矢先なのに」(同業他社)と、消費者離れを懸念する声も出ている。

ZAKZAK 2007/08/23

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_08/t2007082314.html