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2007年08月23日(木) 00時00分

ABCマート会長退任の怪…不可解な引退劇の真相はZAKZAK

楽天VsTBS騒動でトラブルか

 「これからシェアを伸ばす大事なときなのに、辞めるのは不自然。体が悪いのか。辞めないと経営に支障を来す事態に直面しているのか」

 市場関係者がこう言って首をかしげる。

 エービーシー・マートは退任理由を「若返りの一環として新社長を迎えてから半年がたち、軌道に乗ったので退任することになりました。体調不良ではありません。会長職は当面空席です」(経営企画室)と説明する。

 同社では今年3月、当時の金城正宏社長(52)が専務に降格され、代わって常務だった野口実氏(41)が社長に昇格した。確かに若返りが進んでいるが、三木氏だってまだ52歳。不祥事が表面化したわけではないので、あえて退任する必要もなく、同社内でも「なぜ辞めるのかよく分からない」(社員)といぶかる声が少なくないという。

 その三木氏が世間の注目を集めたのは昨年秋のこと。三木夫妻の資産管理会社「イーエム・プランニング」(東京都目黒区)がTBS株を大量取得し、ピーク時には9.91%を保有する第2位株主に浮上した。

 取得目的を「純投資」としていたが、楽天とTBSが提携交渉をめぐって熱いバトルを演じていた時期だけに、「楽天側の協力者としてTBS株を大量取得し、TBSにプレッシャーをかけているのでは」「いやいや、三木氏の娘はTBSに入社するそうだから、TBS側の協力者だろう」といった具合にいろいろな観測が乱れ飛んだ。

 その後、「TBSが三木氏の娘に来春入社の内定を出した」(関係者)ことが判明したが、結局どちらの味方だったのかは判然としなかった。

 そんななか、TBSの株主総会(6月28日)直前の同月18日、イーエム社は突然、TBS株を大量売却し、保有比率が3.35%まで急低下する。売却益は100億円ともいわれている。

 市場では「病気が退任の理由でないとすると、TBS株の取得・売却をめぐり何らかのトラブルがあった可能性がある」(外資系証券幹部)との見方も出ている。

 三木氏は東邦学園短期大学を卒業後、1985年に国際貿易商事(現エービーシー・マート)を設立。一代で靴販売店を全国309店(2月末現在)にまで拡大させたすご腕経営者として知られる一方、マスコミ嫌いでも有名だ。

 電撃退任の背景には何があるのか。三木氏を知る関係者は「以前から引退したいと言っていましたが、TBSの一件で私生活や家族まで追いかけられたのが大きかったようです。最近は役員たちにも辞めたいと漏らしていました」と明かす。

 別の関係者は「エービーシー・マートの発行済み株式の約60%を三木氏の親族で保有する大株主なので、退任しても影響力は保てる。資産はあり余っているようなので、投資家でもやりながら悠々自適に暮らすんじゃないですか」とみる。

 ここはマスコミ嫌いを承知の上で、三木氏本人から理由を聞いてみたいところ。夕刊フジでは23日朝、都内の三木氏宅を直撃したが、留守中なのかシーンと静まりかえっていた。

 所在を同社に確認したところ、「三木会長は海外に行っています。それ以上は個人情報なので言えません」(経営企画室)との答えが返ってきた。

ZAKZAK 2007/08/23

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_08/t2007082304.html