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2007年08月23日(木) 02時32分

日韓での「成功」例に、イラク対応を正当化 米大統領朝日新聞

 ブッシュ米大統領は22日、ミズーリ州カンザスシティーで演説し、日本や韓国などアジアの「成功」を引き合いに、イラクでの米軍駐留継続の重要性を訴えた。米国の関与が民主化や繁栄につながったとの趣旨だが、「日本の軍国主義者」との戦いを「イデオロギーをめぐる争い」として国際テロ組織アルカイダとの戦いと同列に論じるなど、これまで以上に踏み込んだ。

 演説は朝鮮戦争やベトナム戦争などに従軍した退役軍人の会合で行われ、ブッシュ氏は「日本の軍国主義者、韓国、ベトナムの共産主義者は人類のあり方にたいする無慈悲な考えに突き動かされていた」と言及。「イデオロギーを他者に強いるのを防ごうと立ちはだかった米国民を殺害した」と述べ、イラクやアフガニスタンのテロリストも同様だと訴えた。

 日本に関してはさらに、「国家宗教の神道が狂信的すぎ、天皇に根ざしていることから、民主化は成功しないという批判があった」と紹介。「日本人自身も民主化するとは思っていなかった」と述べ、にもかかわらず、今日の日本は「宗教、文化的伝統を保ちつつ、世界最高の自由社会の一つとなった」と胸を張った。

 また、韓国については朝鮮戦争時の米国の介入やその後の関与がなければ、「韓国民は今、残酷で抑圧的な体制の下で生きていたかもしれない」などと発言。ベトナム戦争をめぐっては、米軍撤退後に大量の難民流出などの「代償」があったことなどを指摘。「ベトナムと同じように米軍が撤退すれば、敵は米本土まで追いかけてくる」と駐留継続を正当化した。

 ブッシュ氏は「アジアでは、大勢の米国民の犠牲の上に自由が暴力的なイデオロギーに勝利した」と強調。「中東でもアジアと同じ結果をもたらすことになるとの確信を与えている」などと訴えた。

http://www.asahi.com/international/update/0823/TKY200708220378.html